ショールームに7台の空冷ポルシェが勢揃い
12月5日(土)・6日(日)の2日間、ポルシェセンター京都において“空冷まつり”が開催されると聞き、空冷ポルシェが大好きな私はお腹が空いていたにも関わらず王将も天一(天下一品)も横綱も通り過ぎて向かったのでした。
いつもは最新モデルを展示しているショールームには、本国からやってきた356A 1600Sクーペ、911、911ターボ(930)の3台に顧客などから借りたという911ターボ(964)、911カレラRS(964)、911カレラ4S(993)、911カレラRS(993)計7台の空冷ポルシェが展示。季節柄クリスマスツリーが飾られていたこともあり、こんなクリスマスプレゼントが届いたらいいなぁ笑いが止まらないなぁなんて妄想が起こるほど魅力的な場でした。
実は来客駐車場も空冷まつりだった!
駐車場での雑談方々のクルマウォッチングも含めてショールームには正午から2時間ほど滞在していましたが、その間やってくるクルマたちの空冷を中心としたポルシェまつりもなかなか見ごたえがありました。356、ナローの911、スピードスター、GT3RS、ケイマンGT4などなど。ポルシェ以外にもピカピカのダイムラー・スーパーV8やGクラス整備中の代車だというメルセデスベンツ・ベンツEQCといった多彩な顔ぶれにちょっと興奮しました。来場車整理をしていたセールス氏によると土曜日はもっとすごかったそうです。
買い損なったターボとRSを横目に散財
未練がましくいつまでも見ていたのはシグナルグリーンの964ターボとシルバーの964カレラRSです。
たまたまアプルーブドを見つけた2012年に本気で買おうとしたことがあります。展示車と同じシグナルグリーンの964ターボ、ルビーストーンレッドの964カレラRSでどちらも700万円でした。700万円ですよ!
どうしても手持ち資金プラス臨時調達でもどうにもならなかったので海外で出稼ぎすることを決断し即渡航しました。今回はだめでもいつか会えるだろうと信じて……。
それから数年、この2台を現金で買えるくらいの貯金を抱えて戻ってみると……、なんやねんこれ!? 再会できたことはできたのですがどちらも2000万円になっていました。浦島太郎もびっくりでしょう。でもこちらは玉手箱を開けなくても真っ白さらさらと消滅してしまいそうでした。
高利貸しで借金して買ったとしても、そちらの方が得だったという価格になろうなんて出発前は予想だにしなかったので、あの時のショックは忘れられません。
代わりにと言ってはあまりに小さいことですが、ミニカーをまた買ってしまいました。ポルシェセンターのショールームには魅力的な限定モデルが並んでいることもあり油断できないのですが、油断すると大散財につながるので要注意です。
タイカンが気になり始めた
なんで京都のポルシェセンターにミュージアムモデルが並んでいるのか気になったので訊いてみたところ、この前の週にタイカンのジャーナリスト向け試乗会が京都で開催され、その場にミュージアムモデルが展示されていたからだとのこと。タイカンと言えば駐車場には真新しい充電スタンドが設置されていたので、元々EVやハイブリッドに興味がないため当然タイカンにも全く興味がなかったものの、せっかくなのでと軽く話題に出したところこう言われました。
「4ドアの911、つまりスポーツカーとして開発されたんです」
え、そうなん? タイカンはフルEVのパナメーラだと思いこんでいたので驚くと同時に俄に興味が出てきました。淡路島で開催された営業マン向け試乗会でたっぷり乗ったという、たまたま話したそのセールス氏にさらに訊いてみたら、「それはそれはスポーツカーで運転していて楽しい」とのことでした。楽しいと聞くと興味は加速します。いろいろ訊きましたが特に興味を持ったのは次の2点です。
・オーバーブーストするローンチコントロールを何度使っても回生能力がとても高いためバッテリーが数%も減らないからロングドライブも心配ないのではないか
・2段ギアボックスなのでEV特有の頭打ちがなくどこまでも加速する。ギアが切り替わると恐ろしい領域まで
EVに試乗した人のコメントで加速の頭打ちが気に入らないという声が少なからずあることは聞いていたし、私もそう思っています。ホンダがインドネシアで実施している二輪EVのPCXエレクトリックの実証実験でもこの加速の頭打ちを指摘されていると聞いたこともありますから、やはりこの点はEVの大きな弱点のひとつ。その欠点がないとなれば想像しただけで楽しい。
航続距離にしても、スペックシート上では燃料満タンのガソリン車と変わらないと謳われていたとしても、エアコン作動、予期せぬ渋滞、充電場所の確保、充電スペースの空き状況など心配の種は尽きず、考えるだけでしんどいし怖くて遠くへ行けないという心理的に大きな弱点がありますので、優れた回生能力やバッテリーシステムによって安心してスペックシート通り400キロ走れる可能性が高まればそれも解消できそうです。
今さらながらスペックシートを読むと、バッテリーや回路も含めたシステムなど興味深い点がいくつも現われました。
こうなると、新しい物好きとしては試さずにはいられませんね。
(取材・写真・文:大田中秀一)