三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」に国内初搭載された運転自動化レベル2の高度運転支援機能を試す!

2020/12/12 13:00

「アクティブ・ドライブ・アシスト」を高速道路で試す

三菱ふそうトラック・バス株式会社が2019年10月23日に発表した大型トラック“スーパーグレート”の試乗会が2020年11月11日(水)・12日(木)の2日間開催されました。
“スーパーグレート”は、独メルセデス・ベンツの“アクトロス”、米フレートライナーの“カスケディア”に続いてダイムラー・トラックで3番目、日本で初めてレベル2の高度運転支援機能を搭載した大型トラックです。
レベル2相当の高度運転支援機能“アクティブ・ドライブ・アシスト”と従来モデルから性能をさらに向上させた衝突被害軽減ブレーキ“アクティブ・ブレーキ・アシスト5”を新規搭載することで、ドライバーの大幅な負担軽減とより進化した安全支援機能を実現したとのこと。日本初の機能が搭載された“スーパーグレート”を路上で試した感じはどんなだったのでしょうか。

助手席に研究所の技術者が同乗してくれるとのことなので、新機能の知識は走りながら追々学ぶとしてまずは早速路上に連れ出しました。試乗コースは、三菱ふそうトラック・バス喜連川研究所→工業団地→国道4号線→矢板ICから東北道→鹿沼ICの往復というトラックの主な走行シーンをコンパクトにまとめた約1時間のルート。カーゴ部分には7トン程度の重しを積んでいます。研究所出口でハンドルを受けとり工業団地に出るところから試乗スタートしました。

① かなりこまめに修正するレーンキープ機能・車線逸脱防止機能
高速道に入って早速オンにしてみました。直線でも緩い曲線でも車両側からかなりマメに修正してきます。「そちらではなくこちらですよ」という感じで。それもかなり意志が強い。私の運転は、教習所でもそう教わったし、実際路上でも何かと安心な“車線内キープレフト”なのですが、どうも常に右寄りを走行させようとしているような感じです。“そこ走りたい”、“いやそっちじゃない”という車両とステアリングを通して無言のやりとりをしながらしばらく走行しました。
ずっとそのような調子だったのでこのことを助手席の技術者に伝えてみると、「レーンキープは左、中央、右寄りと3つの微調整ができます」とのこと。さっそくステアリングのボタンを操作して左寄りに設定しました。するとスーパーグレートと私の意思はぴったり合い、その後は意思がぶつかることはなくすーっと走れるようになりました。ミラーで確認しても明らかに左寄りがわかるくらいラインが変わっています。
カーブでも思うラインに乗せてくれていい感じに曲がっていきます。アンダーステア(切り始めが遅いというか切りが足りない)気味になることもあったのですが、「もちょっと切ったほうがいいよ」と車両側から教えられるようなこともあったりして。そうなるとかなりリラックスして運転できるようになり、余裕が生まれると言えばいいのでしょうか、「このまま八戸まで行っちゃいますか!?」というムードになりました。

② SA・PA、ICや車線が減少するところでは注意が必要だけどかなり楽なプロキシミティ・コントロール・アシスト
続いて、先行車に追従するこの機能も試しました。ついていくと決めたクルマの後ろでシステムオンすると設定した速度までの範囲で設定した車間距離を保ちながら先行車に合わせて加減速します。もし間に車線変更でクルマが入ってきた場合は相手をそのクルマに変えるので特に何も考えなくても大丈夫。ただ、東北道上り宇都宮ICでこんなことがありました。宇都宮までは三車線ですが出口のすぐ先で車線が二つに減少するので一つ右に車線変更しなければなりません。出口を過ぎたあたりに右に車線を変えるよう指示するペイントが現われます。
一番左を走行しているトラックは後方の様子を見ながら右に一つ車線変更する局面です。ここを走行しているとき、先行車が減速しながら出口に向かいました。当然こちらの速度も落ちます。車線がなくなるので後方の様子を確認しながら車線変更の準備をしようというその時、スーパーグレートは加速を始めました。何で?
これは前がクリアになったために次の先行車を見つけるまで、設定速度だった80km/hで走行しようとしたからです。ちょっとドキッとしました。アシストがついているからといって油断は禁物。このような状況では注意しなければなりません。ただこれは今のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)的なシステムではどれもこうなるのでスーパーグレートの問題ではありません。現システムの特性をきちんと理解した上で使いましょうねということ。何も変化なくクルージングしている状態ではかなり楽でした。やはり八戸まで行っちゃいましょうかという気分になります。

アシストがオンになっている状態でハンドルから手を離すと60秒後にオフになる機能と、運転状態をモニターし、さらに顔認識赤外線カメラによりわき見や寝そうになっていることを感知するアクティブ・アテンション・アシストもついていたのですが、こんな大物を運転しながら両手を離したり寝たりする度胸はなかったので試せませんでした。

アクティブ・サイドガード・アシストもかなり有効

一般道で信号待ちをしているときに助手席ピラーに仕込まれたランプが点滅するのが目の端に見えました。何かなと思ってミラーを見るとさっきは隣にいた乗用車がじりじり動き続け、いなかったトラックが近づいてきていました。このように、最後にミラーで確認したあとに状況が変わっていることや、うっかり見落としていたことも知らせてくれるこの機能もなかなか有効です。特に乗用車よりも小さい二輪車や歩行者など、大型トラックの運転席からでは見落としがちな路上のあれこれを教えてくれるのでいいですね。
このようなことは欧州でもかなり重要なテーマになっているようで、ドイツで2018年に開催された商用車ショーでも各社力を入れた展示をしているのを見ました。

後輪が車線と等間隔でスーッと通過すると気持ちいい

大型車は前輪も当然大事ですが後輪の位置はもっと大事です。見間違うと大事故になりかねません。バスには後輪前に下向きの補助灯があるのを見たことがあるでしょう。トラックにも同様に付いています。トラックの方は、バスより高い位置に設置されているので照射向きによっては乗用車から見るとまぶしくて迷惑だなと思うことも多いあれです。しかしもしあれがないと特に暗い夜道は怖くて運転できません。生命線なんです。カーブや交差点では後輪の位置を常に意識していますが、白線と等間隔で走り抜けたときはキマッタ感がありとても気持ちいい。

気持ちいいと言えばトランスミッションが……

スーパーグレートには12段AMT“ShiftPilot”が搭載されています。段数が多いのでシフトアップもダウンもショックは小さめでさほど気にならず、バスもこれにならないかなと思うくらいのできだと思うのですが、変速タイミングや選ぶギアはかなり気になりました。「え、そこでシフトアップするの?いやいやもっと加速したいんやけど!」
ということもありました。慣れたドライバーがコツをつかめばそんなことはなくなるのかもしれませんが。ちなみに今回試した先進の機能はAMT車にしか装着できません。

国内初のアクティブ・ドライブ・アシストとは?

オートクルーズと停止/発進の制御を可能にしたプロキシミティ・コントロール・アシストをベースにステアリング制御による車線維持アシスト機能を加えた高度運転支援機能が「アクティブ・ドライブ・アシスト」です。これは高精度のレーダーとカメラによる情報を的確に分析し、道路状況、車線情報、ドライバーの状況を判断して、アクセル、ブレーキ、ステアリングを個別に制御することで、ドライバーの運転操作をサポートして疲労軽減と事故リスクを低減するもの。走行時にカメラで車線を認識し、全速度域においてステアリングを制御することで車両を車線内に維持するレーンキープ機能、60km/h以上で走行中にドライバーの意図しない車線逸脱が発生した場合にはステアリングを制御し、車両を車線内に戻す車線逸脱抑制機能から成ります。

一方でプロキシミティ・コントロール・アシストは、車間距離保持機能付きオートクルーズに停止/発進の制御機能をプラスした先進システム。特に高速道路の渋滞時などに効果的で、先行車に合わせて一時停止と発進を制御し、追突を抑制します。ストップ&ゴーの負担が軽くなり、疲労軽減にもつながります。

試乗車のスペック
2台用意されていた試乗車のスペックは次の通りです。私が運転したのはFSの方でした。
●FS (8X4低床)
●車両型式:2PG-FS74HVZ2XVB
●仕様:ハイルーフ仕様
●架装 ウィングボディー
●主要装備 アクティブ・ドライブ・アシスト
●全長(mm) 11,990
●全幅(mm) 2,495
●全高(mm) 3,785
●ホイールベース(mm) 7,380
●車両重量(kg) 11,160
●最大積載量(kg) 13,700
●GVW(kg) 18,540
●積載量 半積載:7t程度の積載
●乗車定員(名) 2
●エンジン 6R20T2
●排気量(ℓ) 10.676
●最高出力(ネット) 290 kW(394 PS)
●最大トルク(ネット) 2,000 N・m(204 kgf・m)

●FU (6X2後2軸)
●車両型式:2PG-FU74HUZ2XVB
●仕様:標準ルーフ
●架装:ウィングボディーサイドスカート付
●主要装備:アクティブ・ドライブ・アシスト
●全長(mm):11,990
●全幅(mm):2,495
●全高(mm):3,785
●ホイールベース(mm):7,220
●車両重量(kg):11,130
●最大積載量(kg):13,700
●GVW(kg):18,450
●積載量 半積載:7t程度の積載
●乗車定員(名):2
●エンジン:6R20T2
●排気量(ℓ):10.676
●最高出力(ネット):290 kW(394 PS)
●最大トルク(ネット):2,000 N・m(204 kgf・m)

楽だけど人間力が問われる

実は私は自動運転のあれこれには懐疑的です。しかし今回体験してみて、トラックこそは早くそんな世の中になって欲しいと強く思いました。高速道路だけなら比較的簡単に実現できそうな気がします。そうなるとドライバーの疲労はかなり軽減されるでしょうし、トラックだけの隊列走行ができれば無用な加減速をしないことによる省燃費にもつながるでしょう。何より、時速79.5キロのトラックを時速80キロで追い越そうとするトラックがいるために起こる路上のあれこれもなくなるし路上のみんなにきっといい。
まずは高速道路を走行するトラック部分に集中して技術開発すればいいのではないかと思います。インフラも比較的整えやすいようにも思いますし。
三菱ふそうトラック・バスによるとダイムラーグループとしてレベル4実現に向けて様々な取り組みを行っているとのことなので今後も注目です。

ところで試乗中に、この短時間でもシステムオンでしばらく走行した後にオフにするとちょっと勘が鈍っているなと感じることがありました。怠けて適当に運転してもいいのではなく、本気で運転しているけれどもやってしまったうっかりを救ってもらうためのデバイスだと自身に強く言い聞かせておかなければならないでしょう。そういう点では何も付いていないトラックよりドライバーの人間力が問われるかもしれませんね。
メーカーも、「アクティブ・ドライブ・アシスト」は自動運転を行う装置ではありません。本車両はレベル2に定義される高度運転支援機能を有する自動車ですが、あくまで運転の主体と責任はドライバーにあります」と、言っていますし。

(取材・写真・文:大田中秀一)

 

 

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