新型「MIRAI」は水素タンク容量の拡大! 一回の満充填による走行距離は最大850kmを実現
12月9日、トヨタはフルモデルチェンジを受けて2代目となった燃料電池車の新型「MIRAI(ミライ)」を発売した。
●新型「トヨタMIRAI」モデルラインアップ
・G:7,100,000円
・G“Aパッケージ”:7,350,000円
・G“エグゼクティブパッケージ”:7,550,000円
・Z:7,900,000円
・Z“エグセクティブパッケージ”:8,050,000円
※価格は消費税込み
水素を燃料に、酸素と化学反応させることで電気エネルギーを生み出し、その電力でモーターを駆動し走らせるという、トヨタの燃料電池車ミライが新型に生まれ変わった。
新型にはトヨタのFR高級車用として定評のある「GA-L」プラットフォームをベースとして採用。リヤなど各部の構造を見直し、ボディ剛性を徹底的に強化した。
フロントにはFC(フューエルセル)スタックやパワーコントロールユニット、リヤには駆動用バッテリーや182ps/300Nmを発するモーターを搭載。水素タンクは合計141Lが3本に分けられ、ホイールベースの内側に2本(64L+52L)、残りの1本(25L)をリヤに搭載。これにより前後重量配分は理想的といえる50対50となり、後輪駆動と合わせて俊敏なコーナリング性能、気持ちの良いハンドリングによる意のままの走りを実現した。
FCスタックと駆動用バッテリーの採用によって力強い加速を演出する一方で、水素タンク容量の拡大により、一回の満充填で最大850kmの走行が可能に。この距離は先代と比べ約30%増しとなる。
水素を燃料とすることで、ユーザーが最も心配になるのが水素ステーションの場所だ。新型では全国の水素ステーションの店舗情報や稼働状況を、専用アプリ「Pocket MIRAI」をダウンロードすれば手持ちのスマートフォンで確認することができる。
このアプリではまた、前回のFCシステム停止時の車両情報(水素残量、走行可能範囲、災害時に活用できる給電可能時間)の表示などができる機能も搭載されている。
新型のボディサイズは全長4975×全幅1885×全高1470mmで、ホイールベースは2920mm。このサイズは先代型より長く、幅広くなった一方で、低くなり、ロー&ワイドかつ伸びやかなプロポーションとなった。エクステリアは、環境コンシャスだからではなくスタイリングで選ばれるクルマを目指し、「サイレント・ダイナミズム」をコンセプトに、スピード感あふれるプロポーションと大胆な面の変化を重視した造形を組み合わせたデザインが特徴。
「サイレント・ダイナミズム」のコンセプトはインテリアにも反映されており、先進デバイスと各乗員を柔らかく包み込む大らかな造形で新しい空間を演出。情報系スイッチはメータークラスターに集約するなど、機能ごとの最適な配置と迷いのない操作系を追求。さらに素材感も追求されており、「先進=冷たい」というイメージを払拭するべく、柔らかなレザーと金属質感とのコンビネーションによる新たな素材感の表現に挑戦している。
酸素と水素があれば、大きな電力を生み出す燃料電池車は、災害による停電などの非常時の電源として活用することができる。新型では2種類の給電機能が標準装備されており、DC外部給電システムは、外部給電器(別売)に接続することで、大出力の電力を住宅や電気製品に供給できる。外部給電アウトレットはフロントフード下に収まるFCスタックに設置。最大9kWの給電に対応する。
車内には、センターコンソールボックス後部とトランク内の2カ所にアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)が配置されており、電気製品の利用が可能。このアクセサリーコンセントは非常時給電システムが備わっており、平均400Whを使用する一般家庭では約4日間の給電に対応する。
新型ではさらに、発電のために走行時に空気を取り入れ、排出する燃料電池車の特徴を活かし、吸入した空気をきれいにして排出する空気清浄システムを導入。つまり走れば走るほど空気がきれいになるというわけだ。
具体的にはエアクリーナーエレメント(ダストクリーナー)でPM2.5レベルの微粒子を捕捉し、ケミカルフィルターで有害な化学物質を除去するとともにPM2.5の発生を抑制。走ることできれいにした空気量はセンターディスプレイに「空気清浄メーター」として表示される。
安全運転支援技術としては、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフイティセンス」を採用したほか、AI技術も取り入れて運転中に遭遇しうるさまざまな状況を予測し、対応を支援する高度運転支援技術「Toyota Teammate」を導入。さらに2021年には一定条件下で自動運転を可能にする「Advance Drive」搭載車が発売される予定だ。
グレードは標準の「G」と上級の「Z」を設定。各グレードにおいて、居心地の良い後席空間にこだわり高級車としてのゆとりをさらに向上させる「エグゼクティブパッケージ」を設定。Zグレードにはさらに、「Toyota Teammate」や駐車時の操作を支援してくれる「Advanced Park」などを装備した「Aパッケージ」用意された。
なお、燃料電池車ゆえ、購入時はエコカー減税が100%となるほか、環境性能割が3%になるなど、優遇税制が受けられる。CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)などをプラスした優遇額の合計は約1,395,700円〜1,419,000円にのぼる。