XC60の人気をさらに高めるモデル
ワゴンのV60シリーズと同様にSUVのXC60シリーズもアップデートが施された。変更内容はV60と足並みを揃えた“電動化”が主たるポイントで、48Vのマイルドハイブリッド・システムを盛り込んだB5や電動スーパーチャージャーを組み合わせたB6の設定、そしてこれまで“ツインエンジン”と呼ばれていたトップグレードがリチャージ・プラグイン・ハイブリッド T8となった。トリムレベルでいえば、内外装をスポーティに仕立てたR-Designが用意されたほか、オプションのB&Wプレミアムサウンド・オーディオシステムはアンプやスピーカー・コーン素材が改められ、ワイヤレス・スマートフォン・チャージも用意されるなど、商品力が高められているのもトピックだ。
今回の試乗したXC60 B6 R-Designについてもう少し説明を加えよう。B6はピストン、シリンダー、シリンダーブロックなどのエンジンの根本を見直しつつ、ターボチャージャーやエキゾーストシステムに手を加えた第3世代の“Drive-E” 2L直4ターボがベースとなる。これにインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モーター(ISGM)を利用した48Vマイルドハイブリッド・システムと電動スーパーチャージャーを組み合わせたのがB6だ。このユニットは効率的なエネルギー回収を始め、モーターアシストによるスムーズさを得ながら、さらに電動スーパーチャージャーを追加して高出力化とCO2の低減を狙っている。
試乗車がR-Designを名乗っているのは、スポーツシャシーが奢られている証拠でもある。専用の足回りは、ばねレートをノーマル比で30%高めた強化スプリングを備え、専用モノチューブダンパーや強化アンチロールバーなど、多岐にわたって手が加えられている。
もっとも、だからといってXC60 B6 R-Designがスポーティなだけに特化したSUVになったかといえば決してそんなことはなく、パワートレインに関してはむしろ洗練度が増したような印象を受けた。
低中速域では電気モーターのISGMによるアシストともに、電動スーパーチャージャーがシームレスに加勢してくれているからだろう、約2トンの重量級ボディはドライバーにその重さを感じさせずにスゥーっと動いてくれる。
そこには動き出しの軽さだけでなく、加速とともに力強さが自然に上乗せされていくから、気づけば思っていた以上のスピードに達していて驚かされることしばしば。適度に締め上げられた足回りのおかげもあって、安定した姿勢を保ってくれていることも速さを感じさせない要因のひとつかもしれない。さすがに前後21インチ・サイズのタイヤはその存在感が大きく、荒れた路面では特にバタバタとした音と振動が強めに伝わってきていたのが惜しい。
ともあれ、泥臭さのない丹精なスタイルや充実の安全装備も含めた高い商品性、そして電動化ユニットとスポーツシャシーで得た洗練性はB6 R-Designの大きな強み。世界的なボリュームセラーであるXC60の人気はさらに高まるような気がする。
【specification】 ボルボ V60 B5 R デザイン
車両本体価格(税込)=7,990,000円
全長/全幅/全高=4690/1915/1660mm
ホイールベース =2865mm
トレッド(前/後)=1655/1660mm
車両重量=1940kg
エンジン型式/種類=B420T/直4DOHC16V+ターボ+スーパーチャージャー
内径/行径 =82.0×93.2mm
総排気量 =1968cc
最高出力 =300ps(220kW)/5400rpm
最大トルク =420Nm(42.8kg-m)/2100-4800rpm
モーター型式/種類=3330 /交流同期電動機
モーター最高出力 =13ps(10kW)/ 3000rpm
モーター最大トルク =40Nm(4.0kg-m)/ 2250rpm
バッテリー種類=リチウムイオン電池
燃料タンク容量 =71L(プレミアム)
燃費(WLTC)=11.1 km/L
トランスミッショッン形式=8 速AT
サスペンション形式 =前:W ウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
ブレーキ =前後V ディスク
タイヤ(ホイール) =前後255/40R21(8.5J)
ボルボ・カー・ジャパン公式ページ https://www.volvocars.com/jp/Cars/New-Models/XC60