実質的な大黒柱といえるレンジローバースポーツ
2005年に登場したレンジローバースポーツは、X5やカイエンといったオンロードに軸足を置いたスポーティさを売りとしたプレミアムSUVに対するレンジローバーの回答として投入されたモデルだ。二代目となる現行型は、レンジローバーと同様のアルミモノコックを採用し、居住性や快適性の面でも大きな進化を遂げた。現在のランドローバーのラインナップにおいては、性能面やステイタス面においての実質的な大黒柱とみても間違いではないだろう。
RANGE ROVER SPORT AUTOBIOGRAPHY DYNAMIC/レンジローバーがロータリー式のATセレクターを使用しているのに対して、レンジローバースポーツは従来のレバー式を用いているのが最大の違い。インフォテイメントシステムやオフロードモードにおける操作もほぼ同一。慣れてしまえば直感的に各種設定ができる。シート地などデザイン面でもスポーティさを演出しているのも印象的で、ホールド性や乗降性も良好。試乗車にはオプションで装着できるリアモニターが装備されていた。
今回試乗したレンジローバースポーツには、ジャガー・ランドローバーが新たに開発した直6エンジンが搭載されている。先に投入されているインジニウムファミリーの最新型となるそれは、従来のV6と置換することでコストや重量などの面で有利になるというが、そのぶん、このP400は電動スーパーチャージャーやツインスクロールターボ、48Vマイルドハイブリッドなどのデバイスがてんこ盛りでそのメリットは相殺されているだろう。
この複雑なメカニズムを綺麗にまとめた新しいエンジンは、V6に対して本能的な魅力が見事に勝っている。中高回転域では充分なパワフルさと共に直らしい滑らかなフィーリングと澄んだサウンドを聴かせてくれる一方で、極低回転域からじわじわとトルクを立ち上げて歩むように進むのも苦にならず、悪路で求められる速度調整能力もしっかり確保されている。
足回りのダイナミックレンジはご本尊のレンジローバーにも勝るほどで、ぬかるみや砂利道もものともせず、ワインディングでは下手なスポーツカーも脅かすコーナリング性能をみせる。その姿勢の良さや駆動の掛け方の巧さをみていると、彼らは車体をいかに動かすかを考える上であらゆる唐突感を極力排そうとしているのだと思う。ひいてはそれが、ランドローバー銘柄に共通する、肌馴染みの良さに繋がっているのだろう。
RANGE ROVER SPORT AUTOBIOGRAPHY DYNAMIC
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