近年にない生産減に見舞われながらも、各社ともコロナ以前の操業体制に復帰
新型コロナウイルス蔓延による国内自動車メーカーの生産減は今さら言うまでもないが、ここにきて今年上半期(1-6月)のデータが出揃ったこともあり、あらためてその影響の大きさを記しておきたい。生産台数の減少は海外からの部品調達が滞ったことや、国内販売の激減などによるところが大きいが、別表にある通り、乗用車メーカー全社は国内生産に加え、海外生産もすべてマイナスとなってしまう。
コロナショック以前の2019年通年も国内生産は8社中5社が、海外生産は8社中6社が前年比マイナスとなっていたが、それに輪をかけて厳しい状況に置かれてしまったことが分かる。さらに気になるのがマイナス幅の大きさで、すべて2ケタ減というだけでなく、日産とマツダは国内生産が40%以上減少し、海外生産も日産とダイハツは40%以上減少。磐石とされるトヨタでさえ3割近い減少に見舞われており、コロナウイルスという外的要因によるものとはいえ、かつてない落ち込みが各社を襲ったことが見てとれる。
だが部品調達のメドがつき始めた6月には徐々に生産体制も回復方向に向かい、7月には各工場の稼働率も回復。国内の新型コロナウイルス感染者数、感染率はまだ高まる傾向にあるものの、対策をしっかりすることで生産を続けられることが分かり、各社ともライン稼働レベルも回復。トヨタは8月中には稼働停止ラインはゼロとなる予定で、マツダも生産調整以前の水準に戻るとしている。
7月終盤から8月にかけての感染者増加はGoToトラベルによるものが大きく、その影響が自動車生産にどこまで影響をおよぼすかは分からないが、各社とも感染状況を慎重に見極めて手を打っており、下半期の生産は回復する可能性は高い。国内の新車販売に関しても、7月には軽自動車販売が前年同期比1.1%減まで戻し、登録車はまだ2ケタ減ながら受注は増え、新型車効果も手伝って需要は徐々に戻りつつある。いきなりのV字回復とはいかないだろうが、自動車業界の回復は日本経済全体の回復に大きく貢献することは間違いない。秋以降もいいニュースが届くことを期待したい。
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