欧州ランキング、ゴルフ vs クリオの競争激化
新型コロナウイルスの蔓延は欧州における新車販売ランキングにも少なからず影響をおよぼしている。英国の調査会社であるJATOダイナミクスは毎月、欧州27カ国(EU+北欧など)の車名別ランキングを調査・公表しているが、今年上半期(1-6月)は毎月のように順位が入れ替わっている。VWゴルフかルノー・クリオのどちらかが首位に立つ構図は6カ月間変わらなかったが、2位以下は大きく変動。新型コロナのせいばかりではないかもしれないが、需要の不安定さを物語っている。
1月はフォード・フォーカス、プジョー208、VWポロなどが上位2車に迫るという従来通りの展開だったが、ドイツやフランスのロックダウン(都市封鎖)が始まった3月になると全体の台数が減ったこともあってテスラ・モデル3がいきなり2位に浮上。だが全体の台数が激減した4月にはテスラは上位から消え、代わってシュコダ・オクタビアがクリオを抜いて2位に浮上。続く5月はプジョー208が3位に浮上したものの、4位には僅差でダチア・サンデロが上がってくるなど、日本ではあまり馴染みのないチェコやルーマニアといった国で生産されるクルマが存在感を見せている。
そしてゴルフを脅かす存在となりつつあったクリオが、2月に続いて5月と6月もランキング首位を獲得。上半期6カ月間の累計ではゴルフ12万204台に対してクリオが11万9415台と、ゴルフが800台弱の僅差で牙城を守ったものの、新型車効果で売れまくるはずだった8代目ゴルフがここまで追い込まれたのは意外だ。
JATOによるとゴルフは5月半ばにソフトウェアのエラーが見つかり、納車が滞ったことに加え、新型ゆえにまだ欧州で供給が始まっていない国もあり、それが要因としている。
6月単月ではクリオ3万7119台に対してゴルフ2万4474台と1万台以上の差がついているが、7月以降はゴルフが伸びてくるのか興味深いところだ。
欧州全体の乗用車販売は4月を底に回復傾向にあるが、それでも上半期は前年同期比38.1%減と依然として厳しい状況にある。下半期は果たして前年並みレベルまで戻すことができるのか、欧州各社の販売促進策に期待したい。
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