2020年8月6日(木)奈良コンベンションセンターにて、奈良県バス協会主催の貸切バスにおけるコロナウイルス対策のPRイベントが行われました。
コロナウイルスの影響で貸切バスの利用が落ち込むなか乗客に少しでも安心してバスを利用しようというムードになるためにどのような対策を行っているのか? 奈良交通のいすゞ・ガーラ(2RG-RU1ESDJ)と奈良観光バスの日野・セレガ(2RG-RU1ESDA)を使い、空気が入れ替わる様子並びに除菌作業が紹介されました。
外気導入で5分以内に空気の入れ換え完了
車内にスモークを発生させ、エアコンの外気導入モードではおおむね5分で車内の空気が入れ替わることを実演。運転者の姿も見えない車内がみるみる晴れていきます。車内の空気は後方の排気口からどんどん抜けていくのが見えました。
窓を開けて走行していても同様の結果になることはビデオで紹介されました。
念入りな除菌
見えない空気も気になりますが、多くの人が触る箇所なども気になるのでしょう。ステップを上がるときにつかむグリップ、シートバックのグリップ、カップホルダー、シートベルトのバックル、荷物棚、シート背面、シート座面、カーテンにいたるまでおよそ人に触れるであろう部分のすべてに除菌スプレーを吹きかけてタオルでていねいに拭き上げます。さすがに拭き上げるまではしませんが床にもスプレー。
会社代表としてアナウンスとデモでご活躍だった2人のガイドさんは書川恵さん(奈良交通・社歴16年)と大東真央さん(奈良観光バス・入社6年)。自宅待機の時間が長く、久しぶりの表舞台とのことでした。
ほとんど動かない観光バス
観光バスをぱったり見なくなってからかなり経ちますが、現状はいったいどんなことになっているのかを県下最大手の奈良交通と大手の奈良観光に訊いてみました。
奈良交通
貸切車保有台数:119両(大型111両・中型7両・小型1両)
貸切運転者:16名(116名中100名が路線に転属したため)
ガイド:35名
休車車両数:68両
コロナ禍で4月1日以降止まっていた定期観光運行が9月5日(土)以降徐々に復活させるようですが、修学旅行が多い観光の方はまだまだ先のことになるでしょう。奈良交通は路線バスもあることから、乗務がない日は乗合バス車内の消毒の手伝いや教習なども行っているそうです。
別の日に運転者にも訊いてみました。観光から乗合の応援にきた運転者は、発進停車が多いため操作も忙しい、パワー感も違う、確認項目も違う、バス停に寄せる運転、前中後扉の開閉作業などかなり違うので慣れるのが大変。乗合運転者は、応援がたくさんきたため残業や臨時手当が得られるような業務が減り、収入も減ったとのことでした。
奈良観光バス
貸切車保有台数:69両(大型65両・中型3両・マイクロ1両)
貸切運転者:70名
ガイド:25名
休車車両数:なし
こちらも修学旅行客が多く、今や稼働率は0%台。お盆休み明け早々にキャンセルのFaxが続々入っているとのことでした。
地元のクラブのちょっとした貸切、寺社札所巡りが細々と、最近はGoToトラベルキャンペーンが始まったため動き始めてはいるもののそれでもまだ1%くらいだそうです。2019年7月に導入したこのリフト付き車両も活躍の機会がありません。希望番号の32-06は創業年月である昭和32年6月表わしています。
当面動かない車両は休車に
休車とは、新型コロナの影響で動かなくなった車両を一時的に運行しない車両として管轄する運輸支局に届けることです。この手続きをしておけば道路運送車両法で定められた3ヶ月毎の点検が猶予されるのでその分の経費が助かります。
修学旅行が戻れば
奈良の場合、インバウンド客も当然いましたが、見かけるバスは大阪(なにわ、堺、和泉)、京都ナンバーや東京以外の関東圏のナンバーしか見ませんでしたし、相当前のことですが、一度だけドイツナンバーのバスを見たことがありました。外国人観光客は国内の別の場所から、異国からバスに乗ったまま来るのが普通なのです。
鹿もここのところは空腹と人間を見かけない生活に慣れて落ち着いているようですが、どことなし寂しそうです。奈良公園で制服姿の学生をたくさん見るようになるのはいつの日でしょうか。
屈強な外国人観光客にいきなりヘッドロックされて凍りつく(記念写真を撮るために首にガシッと腕を回し首をグイッとカメラに向ける。日本人はやらないこの行動に「ええっ!」という雰囲気になるのが可笑しい)のはいつの日でしょうか。
学校が正常に戻り、国内旅行が自由になる日がくれば、奈良県のバスはインバウンド狙いのバスよりは早く復活できそうではあります。
取材・写真・文:大田中秀一