台数が伸び悩むなかで順位も大きく変動。Cクラスがまさかの10位に
2019年10月の消費税増税以来、前年同期比マイナスが続いてきた輸入車販売。さらに新型コロナウイルスの影響が加わり、試練のときを迎えている。2020年6月もその傾向は続き、減少幅は5月の46.4%減よりは小さく抑えられたものの31.9%減の2万1252台と厳しい状況にある(いずれも日本メーカー海外生産車を除く外国メーカー車)。
2020年上半期(2020年1~6月)の累計台数も23.2%減の11万4380台と、前年同期の14万9010台に比べて3万4630台も少なくなっている。リーマンショック後の2009年上半期も2万8000台以上減少したが、今回はそれを上回ってしまう。ちなみに日本メーカーの海外生産車に関してはタイ製の日産キックスが新たに加わったことで、乗用車に限れば5月の41.3%減に対して6月は25.8%増と一転して大きく伸びている。
外国メーカー乗用車の車名別ベスト20は別表の通りだが、全体的な台数減もあってランキングが大きく変動。首位はBMWミニが前年同期比で3割以上減らしながらも首位を守り、2位もフォルクスワーゲン(VW)ゴルフが大幅減ながら頑張っているが、意外なのがメルセデス・ベンツCクラスの後退だ。2019年上半期では2位、2019年通年でも3位と上位常連のCクラスだが、この2020年上半期はなんと10位。6位ぐらいになったことはあったが、10位まで下がったのは近年なかったことだ。
現行モデルが一巡したことによる台数減もあるのだろうが、代わってセダンも加わったAクラスやCLAが順位を上げ、18位ながらBクラスもランクイン。主力モデルにやや陰りが出ても、それに代わるモデルがあるところも今のメルセデスの強さだろう。
そして見逃せないのが4位にいきなりランクインしてきたVW Tクロスだ。2020年第1四半期(1~3月)に4位で登場し、第2四半期(4~6月)も6位だったので、実はいきなりでもないのだが、同ブランドの実力派VWポロやBMW3シリーズをも上回ってくるあたりは期待の新星と見てもいいだろう。コンパクトSUV人気に後押しされている面もあるが、8代目ゴルフが出るまでの間を埋める大型新人の登場といったところ。果たして巨星ゴルフと肩を並べる存在となり得るのか、今年下半期の注目の的となりそうだ。
唯一のアメリカ車として孤軍奮闘するジープ・ラングラーも好調を保っており、2019年通年の16位、2019年度の12位に続いて今上半期も12位と欧州勢にくさびを打ち込む存在となっている。メルセデス・ベンツGLCとの差がわずか3台という接戦だけに、下半期はぜひベスト10入りを目指して欲しいところだ。
輸入車全体の台数が減少気味ゆえの順位変動という面もあるが、上位常連モデル以外の奮闘には注目したい。勢力図が変わるきっかけとなる可能性もありそうだ。なお、上半期のブランド別順位にも触れておくと、メルセデス・ベンツの首位は揺るがず、2位VWに7000台近い差をつけている。続いて2000台余の差でBMWが3位と上位3強は変わらず、4位アウディ、5位ミニという展開。下半期はこの順位にも変動があり得るのか、そのあたりもしっかり見ていきたい。