「Car Zero」と名付けられたプロトタイプはこの秋に一般公開される予定
8月4日、ベントレー・モーターズは歴史的な名車を復刻させるコンティニュエーションシリーズの製作をスタートさせ、1929年に登場した「ブロワー」のプロトタイプの組み立てを開始したことを発表した。
このコンティニュエーションシリーズは、2019年9月に計画を公表、ブロワーの復刻モデルを12台限定で製作するもの。
同社のワークショップには、シャシーや燃料タンク、ラジエーター、ヘッドライトが各発注先から納入。エンジンやフロントアクスル、リーフスプリングといったコンポーネントと組み合わされ、「Car Zero」と名付けられたプロトタイプが形になりはじめた。
製作にあたっては、同社が所有するオリジナル・ブロワーを正確にレーザースキャンし、CADデータに変換。そのデータをもとに新しいパーツをオーダーした。もちろんこのデジタルデータは、1920年代にオリジナルを設計する際に用いられた図面も参考にしている。
シャシーは、イスラエルのニュートン&サンズ社のスペシャリストが手作業でリベット留めした厚手の鋼で作られた。200年の歴史を持つ同社は長年、蒸気機関車などのボイラーを製造しており、同社の伝統的な手法で金属を鍛造、形成する。
英国ビスター・ヘリテージに本拠を置くヴィンテージ・カー・ラジエーター・カンパニーは、鏡面研磨されたニッケルメッキのラジエーターシェルのほか、鋼と銅を使用しハンドメイドで叩き出された燃料タンクを製作。最高水準の職人技で真正性を実現する修復のリーダーである同社は、重要なコンポーネントを手作りするのに適任だという。
これらのパーツは、“真新しい”4と1/2リットルエンジンと組み合わされる。このエンジンはもともと、創業者W.O.ベントレーが自身で設計したユニット。このコンティニュエーションシリーズに搭載するのはベントレー・マリナーがNDR社を含むスペシャリストのサポートを受けて再設計したものとなるが、アルミニウムピストンやオーバーヘッドカムシャフト、4バルブ、そしてツインスパークといった要素を、アマースト・ヴィラーズによるルーツタイプのスーパーチャージャーとの組み合わせによってオリジナルを忠実に再現。組み上げられたエンジンは、ベントレー本社のクルー工場にあるテストベッドで調整。スーパーチャージャーの効果もあり、最高出力は約240bhp(約243ps)をマークすることになるという。
リーフスプリングやシャックル(リンクの作用をする金具)は、約75年の歴史を持つ鍛冶屋のスペシャリストであるジョーンズ・スプリングス社が担当。オリジナルの仕様に合わせて製作された。
ブロワーの象徴的なディテールのひとつであるヘッドランプは、英国シェフィールドのヴィンテージ・ヘッドランプ・レストレーション・インターナショナル社によって生まれ変わった。同社の父子チームは、銀細工とオリジナルの仕様からヴィンテージデザインのヘッドランプを作成する能力に長けており、世界的にも有名だ。
ベントレーのクルー本社にあるビスポーク部門の「マリナー・トリムショップ」では、ロマックス・コーチビルダーズによって作成された新しいアッシュフレームが、マリナーのエキスパートチームによる最終の仕上げを経て、手作業によってトリミングされる。
今後は数週間のうちにプロトタイプを完成させ、テストにかける見通し。スーパーチャージャーを備えたエンジンは車体の完成に合わせてテストを済ませ、最終的な組み立てが始まる前にシャシーに塗装を施すとのこと。完成した「Car Zero」は今秋に一般公開する予定だ。
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