【国内試乗】「スズキ・スイフトスポーツ」いつでもどこでも刺激的な走りが楽しめるエブリデイスポーツの大本命。

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「走る」「曲がる」「止まる」というクルマの基本性能の高さに加え、操る楽しさをも合わせ持つスイフトスポーツが、モデルサイクル半ばにマイナーチェンジを実施した。全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールをはじめとする運転支援システムや安全装備を充実。その魅力にさらなる磨きがかけられた。

高い基本性能に加え最新の安全装備を採用

今回は梅雨の合間を縫っての撮影になったが、チャンピオンイエローにペイントされたスイフトスポーツの存在感はこうしたシチュエーションで最高に際立った。灰色の空と街と道で囲まれた空間を疾走する姿はとにかく鮮烈。後述する走りの性能もさることながら、この強烈なビジュアルインパクトがまずはスイフトスポーツの大きな魅力だ。新たにオプション設定されたブラック2トーンルーフもきっと素敵だと思う。

SUZUKI SWIFT SPORT

もちろん、ボディカラーだけが強いビジュアルインパクトの理由じゃない。全幅を標準車より40mm拡げたワイドなスタンスや、前後バンパー、ラジエターグリル、サイドアンダースポイラーといった専用アイテムが、普通のコンパクトカーとはひと味もふた味も違うスピード感を生み出している。スピード感といえば、先日首都高速で見かけたスイフトスポーツの走り方が、ため息が出るほどカッコよかった。コーナー入口ではわずかにアウト側に寄って前方の視界を確保。そこからきれいにターンインを始め、クリッピングポイント付近でイン側に寄ると、コーナー出口ではスムーズにステアリングを戻しながら車線内にピタリと収める。それも、車線幅を目一杯使った攻撃的なアウトインアウトではなく、タイヤ数本分レベルのなかでの繊細なライン取り。どこにも無駄のない完璧なドライビングを見て、ああこの人は運転が本当に上手だし好きなんだなと思った。スイフトスポーツを選ぶのはそういう人たちであり、またそういう人たちの期待に十二分に応える実力を持っているのがスイフトスポーツなのだ。

軽量・高剛性プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。 1トンを切る車両重量により、あらゆる場面で軽快な走りが楽しめる。

実際、今回の試乗を通してスイフトスポーツの走りが本物であることを改めて実感した。まず、ボディが驚くほどガッチリしている。そのことは段差を乗り越えたときのボディ全体のソリッド感と振動減衰の速さ=質の高い乗り心地からして明らかなのだが、鋭いセンサーの持ち主ならステアリングを切ったときの遅れのない挙動や正確なライントレース性、強いブレーキをかけたときの安定感からも、欧州で鍛え上げたボディの強靱さと足回りの優秀性を感じ取れるはずだ。

ブラック基調のインテリアには、ダッシュボードやセンターコンソールをはじめ随所にレッドのアクセントが施される。

1.4Lターボは100ps/Lを達成した高性能エンジンでありながら、低中回転域から太いトルクを発生する。今回試乗したのは6速MTモデルだったが、 50km /hはすでに6速の守備範囲だから高速道路では事実上シフト操作は不要。 6速のまま右足の動きひとつで自由自在に速度をコントロールできる。街中でも、鋭い加速さえ望まなければ1-3-5、あるいは2-4-6といった飛ばしシフトを余裕で受け付ける。大排気量エンジンのようなフレキシビリティは最新のターボエンジンならではだ。加えて、クラッチは軽いしシフトもカチカチと確実に決まる。長年MTに乗っていない人でもすぐに馴染み、忘れかけていたMTの楽しさを思い出すはずだ。もちろん、積極的なシフト操作をして弾けるような加速を楽しむというMT車ならではの醍醐味も味わえる。

前席はヘッドレスト一体型のセミバケットタイプでホールド性、クッション性ともに◎。ステアリングも含め細かな調整が可能だ。

スポーツモデルとはいえ現代のクルマに高度な運転支援システムは欠かせない。スイフトスポーツにはアダプティブクルーズコントロール(6速ATモデルは全車速対応)に加え、車線逸脱抑制機能、車線変更サポート付ブラインドスポットモニター、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、リヤクロストラフィックアラートなど多くの先進安全装備が付き、街中から高速道路にいたる幅広いシチュエーションで安全をサポートしてくれる。走りを極めた本格派ホットハッチとしての高い実力に加え、最新の安全装備を得たスイフトスポーツ。こんなクルマが約200万円で手に入るというのはとても幸せなことだと思う。

140psと230Nmを発生する直噴の1.4L 4気筒ターボを搭載。トランスミッションは6速MTと6速ATから選べる。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年9月号より転載

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