オススメグレードから詳細解説、歴史、中古車情報などメルセデス・ベンツCクラスのすべてがわかる!【一車種徹底研究】

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毎年、数多く登場する輸入車のニューモデル。モデルチェンジサイクルが長い、という印象だった輸入車も、最近では新型に切り替わるまでの期間が短くなっている。バリエーションの展開も多く、現在発売中のニューモデルの詳細を一括で理解するのは、案外難しい。

そこで、この「一車種徹底研究」のコーナーでは、発売中のニューモデルの様々な情報を集積して再分解。概要から歴史、グレード・価格・中古車相場まで掘り下げ、車種ごとのアウトラインを解説する。今回は輸入車を代表する人気車種、「メルセデス・ベンツ Cクラス」をお送りする。

(車種概要)現在発売中のCクラスって、どんなクルマ?

・現行モデル「W205」型は2014年に登場、2018年に大きな改良を実施
近年、フォルクスワーゲン・ゴルフのライバルとなるFFハッチバック「Aクラス」や、「GLA」「GLC」などSUVを豊富にラインアップするようになったメルセデスだが、やはり基本型はFRセダンにあり、中でも「Cクラス」は同社を代表するメジャー・ネームだ。現行型は2014年登場の4代目で、「W205」というコードネームで呼ぶことも珍しくない。

現行型Cクラスは、2013年に6代目となったSクラス(W222)に次ぎ、新世代メルセデスのデザインを採用。躍動感ある流麗なスタイルを特徴とする。車体寸法は先代・W204よりも大型化しており、全長はついに4.7m前後に達し、全幅も1.8mをオーバー。各ディティールがSクラスおよび追って登場したEクラスに類似しており、ホイールベースが一気に80mmも伸ばされたことで、上位クラスと並んでも、車種の判別がつかないほどの存在感を持つようになった。このアグレッシブな外観に負けず劣らない「俊敏さ=アジリティ」をテーマに開発されており、優れた走行性能を実現するハンドリングや、動的性能を備えている。

これらの革新性が評価され、Cクラスセダンは日本で「2014-2015 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞、2015年の世界・カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。

2018年には大きめのマイナーチェンジを実施。外観上ではバンパーやランプ類に小変更があるのみだが、中身はフルモデルチェンジ並みと言っても良いほどに刷新された。変更部位はなんと6500箇所に及ぶという。特に変わったのがエンジンで、C200は1.5Lターボというダウンサイジングエンジンに換装。「BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)」によるマイルドハイブリッドを搭載したことも話題になった。

・ステーションワゴンやクーペ、カブリオレなど豊富なボディバリエーションを用意

Cクラスでは初代よりステーションワゴンも設定しており、現行型でももちろんラインナップしている。また、先代に引き続きクーペを設定。Sクラスクーペの流れを汲む美しいルーフライン、なだらかに落ちるリアエンドなど優雅なデザインが特徴である。現行型ではさらに、このクーペをオープンモデルとしたカブリオレが2016年に追加されている。耐候性に優れた格納式の布ルーフを備え、屋根を閉めればクーペと遜色ないプロポーションと快適性を得ている。なお、すべて「W205」の系列だが、正しくはステーションワゴンのコードは「S205」、クーペは「C205」、カブリオレは「A205」となる。

・1.5LターボからV8ツインターボまである、幅広いエンジン設定とグレード展開
2018年のマイナーチェンジでは、搭載されるエンジン体系が変わり、2019年にもさらにエンジンが載せ変わったグレードもあるため、2020年5月現在、1.5Lターボ、1.5Lターボ+BSG(マイルドハイブリッド)、2Lターボ(プラグインハイブリッド)、3L V6ツインターボ、4L V8ツインターボ、2Lターボディーゼルの7種を設定し、それに応じた数多くのグレードを展開する。ちなみに、最安価モデルと最上級モデルの出力差は約3.2倍、価格差は約2.9倍もある。

(歴史篇)前身190クラスは1982年、初代Cクラスは1993年の登場

・はじまりは、日本でも売れた「190クラス(W201)」
大まかにいうと「大」「中」「小」とサイズのあるメルセデスのセダン。上から「Sクラス」「Eクラス」「Cクラス」が該当するが、実は、1970年代の同社セダンには、Sクラスとコンパクトクラスしかなかった。だがこのコンパクトクラスはその後の「ミディアムクラス」、つまり現在のEクラスに相当する車種にあたり、小さいセダンとは言えなかった。つまり“コンパクト”というのは「相対的にSクラスより小さい」という意味だったのだ。

しかしオイルショック以降のクルマ小型化の流れを受けたこと、ライバルのBMWが小型セダンの3シリーズを成功させていることから、メルセデスもこのクラスに“絶対的”に小さいコンパクトセダン「190」(W201)を投入することになった。1982年のことである。同社では従来、車名が排気量を示してきたが、190クラスでは「190」が車名・シリーズ・クラスを示しており、実際のエンジンは2Lだった。そのため、2.3Lを積む場合は「190E2.3」という変則的なネーミングとなった。190クラス・W201は、単なる小さくて安価なメルセデスではなく、上位モデルの品質やダイナミクスをそのまま移植していたのが特徴だった。DOHCを積んだスポーツバージョン「190E2.3-16」なども輩出、折しもバブル経済期だった我が国でも、3シリーズ同様に大ヒットした。

なお、日本では「190E」として知られているクルマだが、「E」は当時インジェクション付きを示していた。そのため、キャブレター付きのモデルがあった時代には、単なる「190」も存在した。

・1993年、初代Cクラス「W202」が誕生

190クラスは、すっかりこのサイズのメルセデスとして定着し、約190万台が作られる大成功作に。そのため後継モデルが用意されたのは自明の理で、1993年になって「Cクラス」という新しい名称を戴いて登場した。初代Cクラス(W202)は、190クラスのデザインイメージを引き継ぎつつ洗練さを増しており、高品位なクルマであることを体現していた。190クラスの数少ない欠点だった車内空間は、車体の大型化・ホイールベースの延長で改善。ユーティリティに優れるステーションワゴン(S202)も設定され、こちらものちに続くCクラスの定番車となった。1997年の改良では、直6エンジンがV6に変更となり、AMG版にはV8エンジンも積むようになった。

・曲線的なデザインになった2代目「W203」と、完成度を高めた3代目「W204」
2代目の「W203」には、2000年にバトンタッチ。内外装デザインは曲線・曲面主体へと大きくイメージを変更。ヘッドライトは大小二つの楕円が組み合わされる意匠となっており、前後世代とデザインテイストの違いが大きい。初代W202同様、ステーションワゴン(S203)を用意した以外に、3シリーズ・コンパクトのようなCセグメント向け3ドアハッチバックを「スポーツクーペ」と名付けて発売した(C203)。直4エンジンは「コンプレッサー」と呼ばれたスーパーチャージャー付きをメインにしていた。なお、このW202とW203をベースに、Eクラス級の装備・車格・価格で販売した「CLK」というクーペ(C207/C208)/カブリオレ(A207/A208)が2世代存在したが、厳密にはCクラスクーペには含まない。これらは、のちにEクラスクーペ/カブリオレへと発展解消している。

2007年になってCクラスは3代目の「W204」に発展。ヘッドライトを矩形に戻したほか、内装も直線基調に回帰。デザインは大人しくなったが、Cクラス伝統ともいえるスポーティなテイストは健在だった。2010年には直4エンジンをスーパーチャージャーからターボに変更、2011年のマイナーチェンジでは、フロント周辺を中心に大規模なマイナーチェンジを行って後期型に進化した。2代目にあった3ドアハッチバック型のクーペは姿を消し、この代からは純粋な2ドアクーペ(S204)を設定していた。

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