【海外試乗】「ホンダe」2020年中に日本でも公道デビュー

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ワクワク感満載のこんなEVを待っていた!

ここ数年、ドイツをはじめ欧州の自動車メーカーによる本格的なBEVの販売が加速している。日本では約10年前に日産リーフやミツビシiMievが登場して以降、後を追うものはなかったが、日本の排気ガス(CO2)規制は罰金をともなう欧州ほど厳しくなく、各メーカーはHEVで対応していたのだ。ところが、欧州の罰金期限が近づき、グレタ・トゥーンベリのスピーチが話題になるよう環境問題が切迫するなか、世界の自動車メーカーはBEVなくしては欧州や中国でのビジネスは難しいと判断したのだ。

低重心の安定した走りが◎。全長は3895mmと先代フィット並みで、リアクォーターからの眺めは太いCピラーが初代ゴルフを思わせる。

それにもっとも素早く反応したのが日本のホンダだ。3年前のフランクフルト・ショーで公開したアーバンEVコンセプトは、当時ホンダ初のBEVというだけでなく、ユニークでシンプル、まるで初代ゴルフのようなレトロなデザインが大いに受けたのだった。

シンプルでモダンなインテリア。ダッシュボード両脇のリアビューモニターも大型で視認性はきわめて高い。

そして、今春ようやく欧州向けの量産モデルが完成、プレス向けの試乗会が開催された。何よりも欧州のメディアやジャーナリストにポジティブな印象を与えたのは、やはりデザイン。これはホンダが独自の言語でシンプルな2ボックスのフォルムを追求した結果で、ドイツで定評のあるデザインアワード「レッドドット賞ベスト・オブ2020」を獲得したことがこれを証明している。また、エクステリアだけでなく高級家電のコンソールのようなインテリアも評価が高く、これまでのホンダデザインのイメージを覆すほど。さらに、開発担当の人見氏が「走る高性能タブレット」と主張するように、このホンダeには先進的なユーザーエクスペリエンスとコネクティビティが装備されているのだ。

充電ソケットはボンネット中央に。タイプ2交流(7.4kW)で4.1時間、直流CCS2では30分で80%が充電可能。モーターは154ps(113kW)と136ps(100kW)の2種類のチューンを用意する。

BEVとしてのスペックも上々で、搭載されるリチウムイオン電池のエネルギー容量は35.5kWh、最大航続距離は222kmと、通勤など日常での使用には何ら問題のない性能を発揮。4輪ストラットの走行性能も特筆すべきで、BEVならではの低い重心高(=500mmはS2000よりわずかに15mm高いだけ)を生かした操縦安定性、後輪駆動によって駆動力から解放されたEPSが、路面状況をすっきり正確に伝えるステアフィールを実現している。

サイド・カメラ・ミラー・システム(SCMS)はスマートなデザイン

ドイツでのホンダeの価格は19%の付加価値税込みで3万3850ユーロ(約400万円)。今秋から日本でも発売予定だが、価格が「ちょうど良い」かどうかは、日本のカスタマー次第だろう。

開発主査の人見康平氏は、ホンダeを単なるBEVではなく「2030年を見据えたCASEポッド」「走る高性能タブレット」と表現する。

ルボラン2020年6月号より転載

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