選手も取材陣も移動がメチャ大変!?
WRCのラリーモンテカルロが終わった翌週に毎年開催されている、ラリーモンテカルロヒス
トリックに行ってきました! ほんとはWRCから行きたかったんだけど、そうすると2週間以
上も家を空けてしまうので、さすがに辛いお年頃。ボクにとっては2年ぶり2度目の取材。前
回は少ないながらも雪があったんだけど、今年は全くありませんでした。
パリでレンタカーを借りてニースに返却するのがお約束なんだけど、フランスのレンタカーあるあるで、スタッドレスなんて履いてません。カウンターで聞いても「スノータイヤ? なにそれ?」と言われるのがオチ。なので、雪が予想される時は現地でチェーンを買うんですが、今年は買わずに済みました。楽なのはいいけど、雪が無いモンテカルロはちょっと寂しいような気もします。
ラリーモンテカルロヒストリックを簡単に説明すると、1955年から1980年までに生産され
た車で、なおかつラリーモンテカルロに参戦したことがある車種が参加対象。WRCみたいに
SSは無くて指示速度に沿って走ってその正確さを競うZRっていう競技区間で競われます。
こう書くと、なんだゆっくり走るだけかよ、と思うかもしれないけど、建前としては法定速度よりも低い指示速度が与えられていて、占有されていない曲がりくねった山道や集落の中を指示通りに走るには、それなりのペースで走らないとダメなんです。
なので、かなりのペースで走ります。当然、一般車と対向したりもするので、WRCよりもキケンな香りがして、取材する側もドキドキワクワクします。WRCでは廃止されたけど、ヨーロッパ各地から一度モナコに集結するコンサントラシオンがあるのも特徴。ヒストリックも以前はモナコに一度集まっていたんだけど、最近はベースとなるヴァランスの街に集まるようになりました。
昔に比べたら楽になったとはいえ、競技本番前にヨーロッパ中から何日もかけてヴァランスまで移動するから、それだけでも大変。僕は一番楽チンなフランスのランスから追いかけはじめました。それでも、ランスからヴァランスまでは約600キロ以上。一晩かけて走る選手達を僕らも追いかけることになるのです。
しかも、選手達のルートは全部下道! 2年前、クライアントのスタートシーンを撮影後すぐに追っかけを開始したボクは、相手は下道だから高速を使えば途中のレストポイントで余裕で追いつくだろうと鼻歌交じりで追っかけ始めたのですが、結果は追いつきませんでした。みんなすげー飛ばすんです。ヨーロッパの夜道を運転したことのある方は分かると思うのですが、日本と違って暗いんです。
そしてボク達と違って夜でもよく見える瞳を持つヨーロッパの人たち。真っ暗な夜道ではとてもじゃないけどついて行けませんでした。そんな経験をもとに、今年はスタートだけ撮影したら近くに1泊。翌朝、ヴァランスに向けて出発しました。何事も経験ですね!
300台以上が参戦するこのラリーには、かつての名ドライバーも参戦しています。今年はワルター・ロールがかつてコンビを組んだクリスチャン・ガイストドルファーと共に911SCで参戦。ボクにとってはアウディのイメージが強いけど、今やポルシェのイメージのワルター・ロール。どこに行っても大人気でサイン攻め。
話すと物腰柔らかな紳士なのに、いざ車を走らせたらめちゃくちゃ速いんです。ま、当たり前なんだけど。他にはWRCやパリダカで活躍したブルーノ・サビーが5アルピーヌで参戦していたり、とかなり豪華ですが、大多数はアマチュア。夫婦で参戦していたり、女性同士のクルーがいたりと様々です。車と同じく年齢層は高めですね。
ヴァランスをベースに周辺の山道を3日間走ったのち、ラリーの舞台はモナコへと移動します。ヴァランスからモナコまでは高速を使って約400キロ。しかし、選手達はいくつかのZRをこなしながらの移動なので大変です。早朝にヴァランスを出発して、モナコのパルクフェルメに一度車を入れて一旦休憩タイム。日も暮れた20時頃からこのラリーのハイライト、チュリニ峠を含む夜の峠へと繰り出すのです。
真っ暗な夜の峠に大勢のギャラリーが集まって、まさにお祭り騒ぎ。あっちこっちからBBQの煙りとお肉が焼けるいい香りが漂ってきます。真っ暗な中なのに焼き加減が分かるのか不安になります。今年は暖かくて路面はドライ。雪の無いチュリニはやっぱり寂しいですね。一晩中走って、早朝のモナコでようやくフィニッシュ。年齢層高めなのに、みんな元気。40代のボクですらフラフラになりながら走ってるのに。
フランスに限った話しではないけど、ヨーロッパではラリーがほんとに身近で、真夜中のコンサントラシオンで家の前に椅子やテーブルを出してワインを飲みながら声援を送る人たちがいたり(ネズミ捕りかと思って一瞬焦った!)、山の中のコース脇でBBQをしながらみんなで騒いでいたりと、年に一度のお祭りをみんな楽しんでいる様子。こんな雰囲気を一度味わってしまうと、辛いのは分かっていても、また行きたくなるのです。皆さんもぜひ観戦してみて下さい!