イタリアのインテリアブランド「カルテル」から、新ラインとなる「カルテルキッズ」が登場した。既存のアイテムの中からサイズやカラーを子供向けにリメイクしたものもあるが、ここでは、乗って楽しい、見て楽しい、オシャレなペダルカーをご紹介する。
※この記事はル・ボラン2017年5月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
カルテル/ディスコヴォランテ
昭和の子供たちにとって、初めてのマイカーはペダルカーだった。ハンドルを通して手に残ったサビ臭さや足下でガチャガチャと音を鳴らすペダルの記憶がいまも蘇る。それにしても周囲をけ散らし暴走を繰り返す、なんとも危険な若葉マークだったことか。
若者のクルマ離れを解決するにはいろいろ手立てがあるだろうが、こうした早期教育もあるんじゃないか。もしいまクルマに興味のない若者だって、かつてこんな玩具で遊んでいたならきっとクルマ好きになっていたに違いない。そんな気にさせるのが、カルテルキッズから登場したクルマの玩具、ディスコヴォランテだ。
ペダルカーではないが、ボディにまたがり、足でこぐ。半円筒状に成型したアクリル樹脂はヴィンテージフォーミュラカーを思わせ、レーシングステアリング風の本格的なデザインもスピード感に溢れる。赤い透明なボディを通してフレームが見えるのも男のメカ心をくすぐる。
ディスコヴォランテと聞いてクルマ好きなら真っ先に思い浮かべるのが、1952年に登場したアルファ・ロメオのレーシングカーだ。コーチビルダーのカロッツェリア・トゥーリングと共同開発され、同社は超軽量の車体構造スーパーレッジェーラを生み出したことでも知られる。伝説の名車とカルテルの玩具はスタイリングこそ共通しないが、“空飛ぶ円盤”と名付けられた未来的なデザインや軽量感というコンセプトは共通し、その名が付けられたのだろう。
デザインを手がけたのは、イタリアを代表するプロダクトデザイナーのピエロ・リッソーニ。ミラノ工科大学で建築を学び、1986年に独立後、1991年と2006年には世界的なイタリアのデザイン賞であるコンパッソ・ドーロ賞を受賞している。カルテルでも多くの製品をデザインし、新作では2年の開発期間を経て、初のカーボンファイバー射出一体成型による超軽量のチェア、ピウマを発表している。カーボンファイバーというレーシング素材に目をつけたことからも、かなりのクルマ好きに違いない。
こんなクルマがわが家にあったら、子供と遊ぶ時間もさらに盛り上がるだろう。むしろ子供以上に夢中になってしまうかも。たとえ子供が飽きてしまっても、デザインのアートピースにもなる。ぜひガレージの愛車の横に飾っておきたい。
KARTELL/DISCOVOLANTE
カルテルは1949年、イタリアのロンバルディア州に化学エンジニアのジュリオ・カステッリによって創立。クルマのパーツ、家庭用品、照明パーツなどからスタートした。その後、プラスティック加工技術を活かし、革新的な家具の製造を開始。常に現代的で前衛的な製品を生み出している。新ラインとなるカルテルキッズは、2016年のミラノサローネでファーストコレクションを発表。3歳から8歳を対象としたアイテムを展開中。ディスコヴォランテは、アクリル樹脂と金属構造を融合した、ピエロ・リッソーニによるクルマの玩具。子供が大きくなってもディスプレイ品として飾れる洗練されたデザインも魅力だ。価格96,400円(税抜)
●問い合わせ先:トーヨーキッチンスタイル/TEL:03-6438-1040 https://kartell.co.jp/