65年もの歴史を持つ温泉旅館「由布院 玉の湯」とは
ジャガーのEV、I-PACEで鹿児島から東京まで、桜前線を追いかけながら5日間かけて行う充電旅。2日目の朝は、大分県の温泉地である由布院で65年前に禅寺の保養所として生まれた歴史ある高級旅館「由布院・玉の湯」で迎えた。温泉旅館楽しみのひとつが朝風呂だが、とにかくお湯がやわらかい。内湯も露天も開放感にあふれていて、いつまでも湯船につかっていられそうだ。
1日目の夜、420kmを半日で走行し、可能走行距離40kmで到着したとき、周囲は暗く宿の全貌はわからなかったが、朝の散策で「由布院・玉の湯」の全体像がつかめてきた。宿泊させていただいた広い和モダンな部屋は、一部屋ずつが独立しながらも長い通路でつながりがある。書棚と暖炉が備え付けられたスペースは、少し暗めの照明がとにかく心地よい。ほっこりしながらも、すべてが上質で自然に溶け込んでいる。そしてさりげないのだ。
ジャガー・I-PACEに似合う旅館ということで、以前から泊まってみたかった「由布院・玉の湯」を訪れたのだが、英国の最新式の電気自動車と日本の名旅館との組み合わせは絶妙と感じる。駐車スペースには各地のナンバープレートのついたフェラーリ、ポルシェ、マセラッティなど高級車がずらりと並んでいたが、早朝、宿の前でI-PACEの撮影をしていると、60代後半と思われる男性が、浴衣を着てお孫さんと一緒に近づいてきた。
宿泊中のクルマ好き老紳士にもササる
ジャガー・I-PACEのデザイン
「これ、ジャガーの電気自動車なんですよ」と話しかけると「遠くからチラっと見えて、思わず見にきたんだよ、ジャガーのEVがあることは知ってたんだけどね。『ル・ボラン』ももちろん知ってるよ、クルマ雑誌はひととおりチェックしているから」とのこと。ポルシェ・カイエンに乗り、ご家族で玉の湯に宿泊されているという男性は「ジャガーの電気自動車で旅、しかも由布院で玉の湯だったら、もう最高じゃない! 間違いないよ」と、おっしゃってくれた。そして運転席に座り、ボディに離れたり近づいたりしながらI-PACEを眺めている。未来的なデザインで、しかもフォトンレッドという派手なカラーリングのI-PACEだが、玉の湯のエントランスとその前に流れている川と橋に、不思議なくらい溶け込んでいる。
さりげなく、そして洗練されているという点でじつは共通している玉の湯とI-PACE。浴衣の紳士も太鼓判のベストマッチングな組み合わせだったのである。
さて「由布院・玉の湯」にはEVの充電施設は備わっていない。予約時にEVで伺うことと「充電は由布院の道の駅でできるのでお構いなく」と伝えたところ「道の駅は少し距離があるので」と、玉の湯の近くにある、普通充電器付きの旅館「柚富の郷 彩岳館」に連絡をとっていただき、充電設備を使わせていただけることとなった。昨晩の到着時、その旅館に案内していただき、ひと晩充電させていただいたのだ。
ジャガーのアプリ「JAGUAR REMOTE」で離れていても充電状況が確認可能
ここで役に立ったのが、ジャガーのスマホアプリ「JAGUAR REMOTE」である。自分のスマホとI-PACEの車台番号などを登録しておくと、I-PACEと離れた場所からでもクルマの位置や充電状況、今までの走行距離にセキュリティ情報、エアコンのON、OFFと設定温度などを遠隔操作できる。
初日にこの設定を行った際、I-PACEにニックネームをつけることができたのだが、私は今回の旅の相棒に「ORANGE PACE」と名付けた。ニックネームをつけて、スマホの中にクルマの情報があると、I-PACEとの距離がググっと近づいた気がするから不思議である。
朝食の間も「お! 走行可能距離、220kmを超えた!」などとアプリを開くのが楽しくなり、まさかの充電エラーもアプリを見れば一目瞭然なので安心感がある。