昨年夏に発表されたコンセプトカー「EXP 100 GT」で導入したデザインDNAとサスティナブルな素材を踏襲
ベントレー・モーターズはこのほど、同社のビスポーク部門「マリナー」が手がけた世界12台の限定モデル「ベントレー・マリナー・バカラル」(以下バカラル)を、英国クルーの本社で初公開した。なお、発売される12台のオーナーはすでに決定しているとのこと。
バカラルは、ベントレー創立100周年を記念して製作され、昨年夏に発表されたコンセプトカー「EXP 100 GT」で導入されたデザインDNAとサスティナブルな素材を踏襲したモデル。ラグジュアリーカーメーカーとして初めて、カーボンニュートラル認定取得工場でハンドメイドされ、マリナーによって示されたラグジュアリーカーの未来を示すモデルだ。
バカラルは、メキシコ・ユカタン半島にある現実離れした美しさで知られるバカラル湖にちなんで命名。世界の素晴らしいランドマークにちなんで命名するのは、2015年のベンテイガから始まった手法だ。
2シーターオープンのボディには、659ps/900Nmに強化された6.0L W型12気筒ツインターボエンジンを搭載。アクティブAWDシステムにより、走行状況に応じて前後輪に最適なトルク配分を行なう。通常の走行では可能な限り後輪駆動モードで、効率のいいダイナミックな走りを実現する。
ルーフのない「バルケッタ(小舟)」デザインのエクステリアは、個性的な前後のライトを含めて、コンセプトカー「EXP 100 GT」を踏襲した彫刻のような美しさが特徴。キーレスエントリーシステムを搭載するためにドアハンドルはコンチネンタルGTと共有しているが、それ以外のボディパネルは他のベントレー車と共有していない、オリジナルのボディだ。テーパー形状のドライマティックなリヤカウルは、乗員を心地良く包み込みながらダイナミックな走りでドライバーを楽しませる実力の持ち主であることを示している。
ラップアラウンドデザインのコックピットはすっきりと美しく、角度をつけた新設計のセンターコンソールからダッシュボード、ドアへとシームレスなラインを描き、包み込むようにそのままリヤへと流れていく。シート後方に半密閉式のラゲッジスペースが設置されている点もキャビンの特色として挙げられる。
コンセプトカー「EXP 100 GT」では、環境に配慮した方法で採取されたサスティナブルな素材が初めて採用されたが、このバカラルでもそれを実現している。深みのあるメタリックな塗装の仕上がりは、もみ殻の灰を原料に使用。英国産ウールやイーストアングリア地方フェンランドで発見された5千年以上前の倒木「リバーウッド」も用いられている。
このバカラルの誕生を機に、ベントレー・マリナーはとくに目の肥えたカスタマーのためだけに特別なクルマをコーチビルドするという原点に立ち返るとともに、新たな体制として「コーチビルド」、「クラシック」、「コレクション」の3本柱で展開していくという。
バカラルは「コーチビルド」部門が手がけた第1号車。今後ベントレーのビスポーク車両は、すべてこのコーチビルド部門が製作することになる。
昨年同社は1929年製「ブロワー・ベントレー」をオリジナルに忠実に復刻させることを発表しているが、この復刻作業を手がけるのが「クラシック」部門。戦前のレーシングカーの復刻モデルを、「継続」の意味を込めて「コンティニュエーションシリーズ」として一台一台を手作業で製作するのは世界で初めてと同社は主張する。
そして「コレクション」は、先ごろ発表された「新型コンチネンタルGTマリナー・コンバーチブル」のように、ベントレー・ラインアップからラグジュアリー性をさらに高めた派生モデルを製作する。新車を購入するカスタマーのためのカスタマイズにも対応するのがこの部門となる。
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