2020年6月に運行開始予定
2020年2月10日(月)、国産連節バスとしては第1号車となる“BAYSIDE BLUE”の車両発表試乗会と、一般向けの車両展示が横浜ハンマーヘッドで行われました。
横浜ハンマーヘッドは、令和元年10月31日にオープンしたホテル、ショップ、飲食店からなるベイエリアの新しい商業施設で、「LE VOLANT CARSMEET」などクルマ関係のイベントも開催される横浜赤レンガ倉庫やカップヌードルミュージアムなどからも近い場所です。
“BAYSIDE BLUE”と名付けられたこの連節バスは、横浜市のシンボルとして、都心臨海部の賑わいづくりに寄与する新たな交通として、東京2020に伴って増加が見込まれるベイエリアの回遊性を向上させるために運行されるとのことです。運行ルートは、横浜駅東口から山下ふ頭。すでに4両が納車されていて、運行開始までに運転士の習熟訓練、道路改良やバス停整備などの工事が行われます。
導入にあたっては、18メートルという車体長に対応させるためのバス停の改良、直角をちょっとねじったような形の大桟橋通りの交差点でのすれ違い安全性確認など連節バスならではの苦労がいろいろとあるそうです。車両費用は4億円と高額なものの、政府が50%、残り50%の半分を横浜市が補助するため、横浜市交通局の費用負担は大きくないとのことでした。
運行を担当するのは23名の精鋭
連節バスの運転は社内公募、書類審査を経て選ばれた23名の運転士が担当します。この日の試乗会を担当したお二人のマスタードライバーに訊いてみました。
長島重美さん(写真左)はバス運転歴20年以上のベテラン。バスの前はコンテナトレーラーの運転手をしていたそうです。けん引免許をお持ちなので慣れていると思ったのですが、「ただ、連結部が車軸の上にあるトレーラーと連結部が車軸の後にある連節バスとは挙動が全く異なるので最初はかなり戸惑った」とのことでした。ちょっと想像してみて下さい。ちなみに連節バスの運転にけん引免許は不要です。
井指一弘さん(写真右)もトラックからバスに移られた方でした。観光バスに乗りたくてバスに転向したもののずっと路線車担当。好きなバスは、担当することが多いUD車とのこと。パワー感がたまらないそうです。
日野ブルーリボンハイブリッド連節バスとはこんなバス
単車のブルーリボンハイブリッドバスとの比較でみてみましょう。
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ブルーリボンハイブリッド連節バス |
ブルーリボンハイブリッド (S) |
全長(mm) |
17,990 |
11,255 |
全幅(mm) |
2,495 |
2,485 |
全高(mm) |
3,260 |
3,105 |
ホイールベース(mm) |
5,500/6,350 |
6,000 |
乗車定員(人) |
119 |
87 |
車両総重量(kg) |
24,585 |
15,205 |
エンジン |
A09C 直列6気筒コモンレールディー-ゼル 265kW/1,569N・m |
A05C-K1 直列4気筒コモンレールディーゼル 191kW/882N・m |
トランスミッション |
7速AMT |
6速AMT |
最小回転半径(m) |
9.7 |
9.3 |
直角カーブ所要道路幅(m) |
7.0 |
6.4 |
ドライバー異常時対応システム”EDSS”が搭載されていることが安全面のトピックです。
乗客が運転士の異常を認めた場合、運転席仕切板後車室(連接器後部)にある非常ブレーキスイッチを押せば作動します。また、運転士自身が異常を感じたときにも自ら押せるように運転席横にも設置されています。
非常ブレーキスイッチを押すと次のように作動します。
① 車内に赤色フラッシャーと「緊急停止、おつかまりください」と音声アナウンスで乗客に警告
② 3.2秒間の軽微制動
③ 停止制動(ホーンが鳴りストップとハザードランプ点滅)
④ 車両停止(ホーンが鳴りストップとハザードランプ点滅)
⑤ 「非常ブレーキが作動しました。駐車ブレーキをかけてください。警察、救急に連絡してください」と音声アナウンス
最初に軽微制動時間があるのは、急制動による乗客の転倒を防ぐための配慮です。
注目度は高い
一般公開近くになるとやはりたくさんのバスファンの姿が見えました。公開が始まってしばらくして説明員に訊いてみたところ、「バスファンの方は細かく写真を撮ったり車内をつぶさに観察したりしていましたが、質問は通りすがりの方からが多かったです。長さ、運行開始日、運行路線などかなり興味を持っていただいたようでした」とのことでした。
平日なので人通りは少ないだろうと思いますが、青くて長いバスに気づいて足を止める人は多かったようです。6月の運行開始が楽しみですね。