【国内試乗】「ビー・エム・ダブリュー・アルピナB7 オールラッド」独自の進化を遂げたラグジャリーサルーン

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BMWとの強固なパートナーシップで高性能かつエクスクルーシブなモデルを輩出するアルピナのフラッグシップサルーンが、7シリーズの進化に応じてフェイスリフト。これまで以上ともいえる洗練された走りと上質感を一般公道で味わってみた。

感嘆しつつ荒々しくない、アルピナが演出する刺激

BMW7シリーズは、大陸的なスケールでの“栄え”を狙ったマイナーチェンジで圧倒的な存在感を獲得した。一方で、そのデザインがアルピナの端正さを損なわないかという心配もあったが、実際にはかなりサマになっている。

大径タイヤにより車高はベースの750Liより高くなるが、やや前下がりで低く構えたアルピナならではのフォルムを実現している。

そもそも、アルピナはBMWのMスポーツをベースにしていない。スポーティさだけではなく、ラグジャリーであることも重要な価値となるからだ。走りについても同様で、エンジンはMモデルに匹敵するパフォーマンスを実現し、サーキット走行もこなせるポテンシャルを備えるが、メインステージはあくまでも一般公道だ。

4.4L V型8気筒ツインターボエンジンは750Li用がベースとなるが最高出力78psと最大トルク50Nmを上乗せ。従来型B7に対しより幅広い回転域で最大トルクを維持する。

進化した7シリーズは走りの洗練度に磨きを掛けているが、B7は、そうした特徴をさらに際立たせ、乗り心地の快適さについては驚くほどだ。単にダンパーの減衰力を低めに保っているわけではなく、走行モードがコンフォートのままでもコーナリングを楽しむ速域が保てる。従来型で感じた路面のうねりを通過する際の縦揺れ(直後に収まる)も、この新型では気にならなくなっている。

上部までレザーで覆われたインスツルメントパネルには深みのある光沢を放つウッドトリム“ミルテ”を組み合わせ、フルデジタルメーターもアルピナ専用デザインとなる。

走行モードがアダプティブならカメラで路面状態を検出し、ダンパーの減衰力を事前制御するだけに快適さは一段と向上。コーナー進入時にはステアリングを切り始める前にダンパーの減衰力がやや高めに移行し、ハンドリングの正確さが実感しやすくなる。それでいて、スタビライザーの可変制御も併用されるので減衰力に頼り切る必要がない。コーナリング中に路面の不整を通過しても、アウト側のサスペンションはストロークの余裕が確保されていて衝撃をしなやかに吸収する。

試乗車はシート表皮に滑らかなレザーメリノが用いられたエグゼクティブ・ラウンジ仕様だ。

しかも、従来型で課題となっていた路面の継目で聞こえる「パカン」というタイヤの空洞共鳴音が軽減している。ただ、ビョーッというパターンノイズやゴーッというロードノイズが耳に届くことがある。意識すれば認められる程度だが、7シリーズよりは大きめなので対策を講じたいところだ。

フォト=篠原晃一/K.Shinohara ルボラン2020年3月号より転載

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