2016年8月に、日本市場に特化させたオールシーズンタイヤとして導入されたのが「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」だ。実はそれ以前にも販売されており、現在のオールシーズンタイヤ流行のパイオニアともいえる存在であり、このタイミングで生産を国内に移すとともに、日本での冬用タイヤとしての証である、SNOW マークの刻印が追加されている。
雪道でもしっかりとしたグリップ性能を発揮
いまや冬タイヤといえばスタッドレス、というくらいにスタッドレスタイヤは広く浸透している。特に頻繁に降雪地域を走る機会の多い人にとっては、マストといっていいくらい重要なウインターアイテムといえるだろう。
しかし非降雪地域となると話は変わってくる。年に1度か2度の降雪のためにスタッドレスタイヤを購入するのはちょっと……と、考える人は少なくないだろう。そんな人にピッタリなのが、グッドイヤーのオールシーズンタイヤ、「ベクター4シーズンズ・ハイブリッド(以下ベクター)」だ。
オールシーズンタイヤの特長はその名の通り、季節を問わず1年中履けること。つまり季節ごとにタイヤを履き替える必要がなく、夏のドライ路面から、冬の雪道まで1本でカバーしてくれるところだ。サマーとウインターの2セット持つ必用がないのも大きなメリットといえるだろう。
オールシーズンタイヤの基本的な性能は、サマータイヤとウインタータイヤ(スタッドレスを含む)の中間くらい。ベクターについていえば、マッド&スノーを表すM+Sマークや、欧州でスノータイヤとしての性能を認められたことを表すスノーフレークマーク、日本で冬用タイヤと認められたチェーン規制の道路を走ることができるスノーマークを取得していて、オールシーズンタイヤとしてはかなりウインター性能が充実している。
トレッドデザインはVシェープで、排水性や排雪性がいかにもよさそう。また、トレッドセンター部には、3Dワッフルブレードと名付けられた立体上のサイプ(極細溝)が施されており、氷雪上でのブロックの柔軟性とドライ路面での剛性を両立させている。コンパウンドはオールウエザーシリカコンパウンドと呼ばれる、気温変化に強く冬の低温化でもグリップ性能を発揮する特性が備わったものだ。
実際に雪道を走らせてみると、思いのほか雪の路面をとらえグリップしているのが感じられる。この理由のひとつには、太溝のVシェーブのトレッドデザインが雪を掴むのにうまく作用しており、しっかりとトラクション性能を発揮してくれているからだろう。加えてコンパウンドが意外なほど雪上でも柔軟で、ゴムのフレキシブルさを失わない。そのため雪上ではやや大げさにいえばスタッドレスタイヤ並みに走ることが可能だ。
さすがに氷上では……と思っていたのだが、ここでもコンパウンドが仕事をしてくれているのが感じられた。ゴムが硬化した時の唐突に滑る感覚がなく、粘る感触がちゃんと出ているのだ。スタッドレスほどではないが、急場しのぎのレベルであれば、これで十分と思えるほどだった。
このように、非降雪地域では冬場の突然の積雪でも安心で、夏場のキャンプやウインタースポーツにも対応できるベクター。レジャーに出かける機会が多いユーザーにはオススメのタイヤといえるだろう。
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