【比較試乗】「メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン vs アウディA6アバント vs BMW 5シリーズツーリング」ドイツ車らしい質実剛健なワゴンは?

マイルドハイブリッドが燃費と走りに貢献

3台中、最も排気量が小さいのがEクラス。このE200は、最高出力184ps、最大トルク280Nmの1.5Lの直列4気筒ターボを搭載する。これにBSGと呼ばれるベルト駆動式スターター・ジェネレーターと48V電気システムを組み合わせた、いわゆるマイルドハイブリッドシステムを加えたことで、燃費と走りに貢献。たとえば、加速時にはBSGがエンジンをアシストするので走り出しから軽い動きを見せるし、アクセルペダルを踏み込んだときにも即座に加速してくれるのだ。絶対的な加速は他の2台に劣るものの、アッパーミドルワゴンにこの排気量で十分な性能を発揮できるのはある意味感慨深い。しかも、乗り心地はマイルドで、それでいて走行時のフラットさは確保されており、とてもバランスの良いクルマに仕上がっている。

MERCEDES-BEMZ E200 STATIONWAGON AVANTGARDE

5シリーズは、523dという車名からもわかるように、2Lの直列4気筒ディーゼルターボを採用。最高出力は190psと控えめだが、最大トルク400Nmの実力派は低回転から力強い加速を見せ、アクセルペダルを強く踏み込めば気持ち良くスピードを上げていく。ランフラットタイヤは路面とのコンタクトが硬めで、サスペンションもまた硬めに躾けられているため、路面によってはショックを拾うこともあるが、シャキっとした軽快な動きはBMWの面目躍如といったところだ。

BMW 523d xDrive TOURING M SPIRIT

3台中、唯一V6エンジンを搭載するA6は、別格の走りを示す。3LのV6ターボは最高出力340ps、最大トルク500Nmには、E200同様、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされて、動き出しから力強く、さらに、どの回転数でもアクセルペダルの動きに素早く、力強く、そしてスムーズに反応するのだ。オプションの電子制御ダンパーや4輪操舵が搭載される試乗車では、快適な乗り心地とフラットライドが見事に両立され、アッパーミドルワゴンにふさわしい洗練された走りっぷりを見せてくれた。

AUDI A6 AVANT 55 TFSI QUATTRO S LINE

長年にわたり、ライバルとして鎬を削ってきた3台だけに、パッケージングも走りも高いレベルの戦いを続けているドイツ御三家のアッパーミドルワゴン。甲乙つけがたいというのが正直なところで、どの個性に共感できるかがクルマ選びのカギになるはずだ。

フォト=宮門秀行/H.Miyakado ル・ボラン2020年2月号より転載

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