【国内試乗】「マツダ・マツダ3 スカイアクティブX」マツダ渾身のパワーユニットの実力は?

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マツダが理想的な内燃機関として開発を進めてきた「SKYACTIV-X」エンジン。そんな待望のパワーユニットを搭載したマツダ3が投入された。果たしてガソリンエンジンやディーゼルモデルと比べてどんな違いがあるのだろうか?

マツダの技術的な志には絶賛を贈りたいが……

2019年5月のデビュー以来、マツダ3は順次バリエーションの充実を図ってきた。そして12月、世界初の火花点火制御圧縮着火技術を採用した2Lの直列4気筒スカイアクティブXエンジン搭載モデルを投入したのだ。このスカイアクティブX、ガソリンエンジンの伸びやかなパワー感や高い排出ガス浄化性能とディーゼルエンジンの優れた応答性や燃費をクロスオーバーさせているとのこと。

24VマイルドハイブリッドのM Hybridも組み合わせている。回生と駆動はベルト経由となるのでエンジンの再始動はスムーズだ。

実際に、アクセルを踏み続けると6000rpmを超える勢いでスムーズに吹け上がり気持ちのいい加速が持続する。中回転域までは、アクセルを踏む量や速さに応じて速やかに力強さが立ち上がるだけに、山岳路では思い通りに走りのリズムを刻むことができた。

さらに、排出ガス浄化性能については微粒子状物質(スス)の補集と除去をするガソリンパティキュレートフィルターを組み合わせることで、今後は一般的なガソリン直噴ターボエンジンで問題となりかねない課題を解決している。燃費についても、幅広い条件でリーンバーン(希薄燃焼)を実現することなどで10-20%の改善が期待できるという。

多くの場面で火花点火制御圧縮着火を維持する。だが燃料は無鉛ハイオクで、リーンバーンを実現するべくスーパーチャージャーを組み合わせながら最大トルクは224Nmと控えめ。

まさに、スカイアクティブXはガソリンとディーゼルのイイトコ取りをしたエンジンなのだ。各メーカーが開発に取り組み実用化ができていないガソリンエンジンの圧縮着火(ディーゼルのようにスパークプラグを用いずに燃焼)技術を市販車に導入したという意味で、マツダの高い志を感じる。ガソリンエンジンの継続的な進化を促すための、活路を見出したともいえる。

スカイアクティブX搭載モデルは6速のATとMTを用意。MTでもモーターが発進をアシストし、シフト操作時の余計なショックを軽減。試乗車は穴空き加工した本革シートを装備。

ただ、ノーマルのガソリンエンジンを積むモデルよりも、価格設定が約70万円上乗せされるとなると、絶賛は贈れない。価格に対する満足度が物足りず、現状ではガソリン直噴ターボを積むCセグメントのコンパクトカーの走りを超えていない。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2020年2月号より転載

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