【国内試乗】「ボルボS60 T6」ボルボ流アッパーサルーンの解

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ボルボS60のガソリン仕様「T5」「T4」に続き、プラグインハイブリッドの「T6」が追加設定され、試乗する機会を得た。前者は走りの良さが際立っていたが、今度のT6は上質感溢れるワンランク上のサルーンへと仕立てられていた。

ボルボが考える次世代の高級車像

ボルボS60のプラグインハイブリッド「S60T6」。ターボ&スーパーチャージャーを搭載したエンジンと、87ps/240Nmを発揮するモーターをリアに備えた、ボルボが「ツイン・エンジン」と呼ぶモデルだ。その仕立ては、パワフルやハイパワーを謳うよりも、上質感を追求したモデルとなっている。それを象徴するディテールが、ステアリングにパドルシフトがないことだと、今回の試乗を通して感じ取れた。

ボルボは任意で速度制限の設定ができる「ケア・キー」を2020年から導入する予定。また、今後は全モデルの最高速度を180km/hに制限する方針を打ち出している。

まずは「ハイブリッド」モードでクルマを走らせると、まるで氷上を滑る様に車体が前へ進み出した。ハイブリッド車特有のモーター音も聞こえてこないので、シフトセレクターが「D」にセットされているか確認してしまうかもしれない。しかしスピード域が高まってくると、アクティブ・ノイズ・コントロールが擬似的にエンジン音を増幅させ、ドライバーの高揚感を高めてくれる。

新設定されたフロントのWウイッシュボーンもコーナーでのダンピングや立ち上がりからして、決してコンフォート性だけに振った仕様ではない。走行モードも「ダイナミック」に変更すれば、ステアリングのインフォメーションもグッと増してくる。そうなると、パドルを用いたドライビングを試みたくなり、きっとその要求に応えるだけのポテンシャルを持ち合わせているのだが、あえてパドル設定をしないところがS60T6のキモだ。

つまり、ドライビング・ファンよりも、安全性やコンフォート性を訴えるクルマ作りにすることで、ボルボが考える次世代のアッパーサルーンへと昇華でき、ひとクラス上に相当する上質感を提供できているのだ。
でも、ボルボのスポーティネスを体感したいのならば? その時は、ポールスターエンジニアードのスペシャルなS60T8を選べば、十分に満足できるはずだ。

S60T6はスウェーデンのオレフォス社製のクリスタルシフトノブを採用。他のツイン・エンジン仕様と同様に、シフトスケジュールも変更されている。

フォト=河野敦樹/A.Kawano ル・ボラン2020年2月号より転載

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