走りの「質」を語る存在に進化
さて、今回はそんな新型ヤリスのプロトタイプに試乗する機会を得たのだが、走りはハードウェアの変貌ぶりを裏付ける出来映えだった。試乗車は1.5LガソリンのCVTとMT、ハイブリッドののFFと4WD。走り出して最初に気付くのは、ボディのしっかり感が従来より格段に増していること。その結果、ステアリングから得られるフィードバックは正確さが増し、足回りもしなやかに動いていることが実感。とりあえず走りの質感、という点では従来とは比較にならない水準にある。
エンジンは新開発の1.5Lガソリン（写真）と改良版1Lガソリン、1.5Lハイブリッドの3種。ガソリン仕様のギアボックスは、CVTと6速MT（1.5Lのみ）を用意する。
質感、という意味では1.5Lエンジンの出来映えも好印象だった。基本的には実質重視の性格ながら吹け上がりに安っぽさがなく、3気筒という構成から想像される音や振動も巧みに抑制。意外といったら失礼だが、MTでは積極的に回す歓びすら見出せる。また、CVTも特有のルーズさが格段に抑え込まれ、日常の伴侶としてならもはや不満な点はない。
インパネは、ワイド感を強調しつつ実用性にも配慮した作り。トヨタらしい、ビジネスユースに適した装備も健在。室内の広さはサイズやタイト感のあるグラスエリア相応というところ。
一方、操縦性については4WDのハイブリッドが印象的だった。基本的にはどの仕様でも穏やかで扱いやすい性格だが、前後の重量バランスが良好なそれではサイズ以上のフラットなライド感が実感できる。また、70km/h以下なら走行環境に応じて適宜後輪を駆動するので、低速コーナーの立ち上がりではしたたかな旋回感覚すら確認できた。このハイブリッドのみならず、新しいヤリスが走りの「質」を語る存在に進化していることは間違いない。
ボディは全長が先代より5㎜短くなったが荷室長は変わらない。
フォト＝小林俊樹／T.Kobayashi ル・ボラン2020年1月号より転載
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