十勝の大平原を覆う濃霧を峠から一望にする
国道274号・日勝峠は日高地方と十勝地方の境に位置することから、この名がある。峠のネーミングとしては少々味気ないけれど、天北峠、石北峠、狩勝峠……といった具合に、道内の主要な峠名には、隣接する地域の頭文字を並べたものが多いのだ。
2016年秋の台風被害により通行止めが続いていた国道274号・日勝峠だが、2017年10月に復旧した。
その日勝峠を西麓の日高町側から走っていくと、道は沙流川に沿って少しずつ標高を上げていく。「石勝樹海ロード」の愛称どおり、トドマツやエゾマツの原生林を抜けていく、いかにも北海道らしい気持ちのいい峠道だ。
一方、日勝トンネルを抜けて峠の東側に出ると、あたりは一転して視界が開け、眼下に十勝平野が見えてくる。北海道の約10%の面積を占める十勝平野は畑作や酪農が盛んで、ふだんの日勝峠展望台からは、大平原にパッチワーク模様を描いたような美しい眺めが広がる。ところが、この日の景色はまったく違うものだった。
十勝平野の内陸部は大陸性気候のため寒暖差が大きく、ときとして濃い霧に包み込まれることがある。それが大平原のパッチワークを覆い隠しながら押し寄せてくる大雲海と化していたのだ。
苫小牧港と茨城県の大洗港を結ぶ商船三井フェリーさんふらわあ。夕方便と深夜便の2便が毎日運行されている。TEL 0120-489850
Data
雲海遭遇率 ★★
雲海の季節 通年
◎所在地/北海道日高町、清水町
◎ルート/国道274号
◎区間距離/約54km
◎最高地点/標高1023m
◎冬季閉鎖/なし
アクセスガイド
日勝峠に最も近い高速道路のインターチェンジは道東道の十勝清水ICで、フェリーターミナルのある苫小牧港からは約160km/2時間。観光地として人気の高い富良野方面からのアクセスも良く、国道38号の樹海峠などを抜けて100km弱の道のり。右ページでも書いた通り、2016年秋の台風被害により、’17年8月時点でも日勝峠の通行止めは続いており(編集部注:2017年10月に復旧)、その迂回路として道東道の占冠IC〜十勝清水IC間のみの通行は無料となっている。
【A】JR北海道・幾寅駅
映画『鉄道員(ぽっぽや)』のシーンが甦る
浅田次郎の小説を映像化し、高倉健の主演で人気を博した映画『鉄道員(ぽっぽや)』。その舞台となったのがJR根室本線の幾寅駅だ。昔ながらの待合室には映画にまつわる数多くの品々が展示され、駅舎の正面には映画で使われた架空の駅名、『幌舞駅』の看板が掲げられている。
●入場無料/南富良野町字幾寅/TEL 0167-52-2178(南富良野町商工観光係)
観光情報
清水町観光協会 TEL 0156-62-1156
占冠村(商工観光担当) TEL 0167-56-2124
日高町観光協会 TEL 01457-6-2008
文:佐々木 節/撮影:平島 格