アドバンの技術と情熱が凝縮された伝統の10スポーク最新モード「ADVAN Racing RS III」【ホイールカタログ2019秋】

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スポーツホイールのあるべき姿を追求するアドバン・レーシングが己のアイデンティティのごとき温め続けてきたRSが生まれ変わった。新作「RS III」は随所が新鮮な表情に満ちた新時代の10スポークだった。

スポーツムード満点ながらプレミアムな雰囲気も漂う

あらゆるアプローチで、己のスポーツ性を強く訴え続けるアドバン・レーシングにとって、RSの系譜はひとつの核と言える。初代、RSが登場したのは2001年のこと。硬派でスポーツムード満点の10スポークと、妥協を許さない徹底した開発による実性能の高さで、瞬く間にスポーツホイールの定番となった。続いて2009年に登場したRS IIは、WTCCへと供給したことが手伝いアドバン・レーシングの名を世界に知らしめた。

スポーツ路線ながらプレミアム感漂うゴルフRがRS IIIの方向性と一致する。この個体は8.5J×18インチのGTRデザインを装着した。

その系譜を受け継ぐ第三弾として、今年、登場したのがRS IIIだった。初代から続く10スポークを踏襲しながら、その造形は大幅な進化を遂げた。正面から見る限り、各スポークは極限までシャープに研ぎ澄まされている。ところが角度を変えると、スポークサイドの削り加工による抑揚が見て取れる。今回、アドバン・レーシングの名に懸けて妥協のできない強度や剛性、それに伴う軽量性能を満足させるため、スポークの縦断面を長く取ることを選んだ。その上で縦断面には大きくえぐり取ったかのようなサイドカットを。それもスポークの股部分まで途切れなくつながる“アドバンス・サイドカット”という処理を施した。最新鋭の強度解析はおろか、進化した切削加工技術など過去から一歩づつ進化させた賜物である。

各スポーク天面は細く取られ、逆に縦断面を厚く取ることで強度と剛性を確保。縦断面には抑揚のある彫り加工が施される。隣り合うスポークの股部分にまで途切れなく加工が入るのはアドバンス・サイドカットという技術だ。

用意されるのは18インチ。コンパクト〜ミドル級までを網羅するボリュームゾーンだ。フォルクスワーゲン・ゴルフ系を筆頭に、類似する他車種などに広く網羅する。気兼ねなく純正から履き換えられるスタンダードデザインのほか、よりスタイルや走りを突き詰めるGTRデザイン、スーパーGTRデザインが用意される。これらはよりリム幅が太くなり、スポーク面が抑揚のあるコンケイブとなる。

センターキャップは純正が流用できる。

今回、取り上げたのはVW/アウディ系を中心としたチューナーであるイシカワエンジニアリングのゴルフRである。実用性を損なわずに走りの質を高めるようにと25mmほどローダウンされた個体に対して、前後ともGTRデザイン(8.5J)のRS IIIがピタリと収まる。第一印象としてスポーティな雰囲気を訴えてくるが、ほどよいコンケイブに加えて、先述したサイドカットの造形美、カラーリングの妙技や三次元加工機による彫り加工なども手伝って、どことなく高級感も漂う。走りを標榜するホットハッチでありながら、同時にプレミアムカーとしての側面を併せ持つゴルフRやGTIにはぴったりの銘柄だと思う。

この個体は前後とも225/40R18サイズのアドバン・ネオバAD08を組み合わせ、サーキットで楽しめる仕様だった。車両やアライメントなどを工夫してもっとワイドなタイヤを投入してもよし、あるいはスタンダードデザインの7.5J、8.0Jならば、標準グレードのゴルフであっても気兼ねなく履かせることができる。たとえ18インチの中でも複数の選択肢を用意し、多種多様なユーザーニーズを満足させる。やると決めたら決して妥協しないアドバン・レーシングらしい。

来年の東京オートサロンでは、19インチが発表される予定だという。これならBMW3シリーズを筆頭とするミドルサルーン系も視野に入ってくる。日増しに大型化するブレーキシステムとの共存も図りやすくなりそうだ。RS IIIは性能追求と車種拡大を求め、まだ進化過程の真っ只中である。

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi ル・ボラン2019年12月号より転載

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