アバルト207A/チシタリアから独立した、アバルト黎明期の一台【自動車型録美術館】第35回

2019/11/22 08:00

ABARTH 207A/アバルト207A

4回連続となるイタリア車。今回はアバルトです。姉妹誌『モデル・カーズ』に連載中の『自動車博物記』、今月のお題はアバルトのエンジンなので、こちらも合わせてアバルトにしました。

アバルトのカタログ

1950年代から1960年代にかけてのアバルトのカタログは、簡易なものが多いようです。どれもサイズは小さく、一枚ものか、せいぜい二つ折りのリーフレットといった体裁で、ページ数の多い凝ったカタログは、ほとんどありません。

ただし、アバルトの活動や、会社概要を商品ラインナップと共に紹介する広報誌的冊子になると、ページ数が多く、大判のものも存在しています。当コラムでは、第24回でアバルト750レコードブレーカーの資料を紹介していますので、この機会にそちらも是非ご覧ください。

アバルト207A

今回とりあげるのは、アバルト黎明期の一台、カルロ・アバルトがチシタリアから独立して創業したアバルト社が1955年に製造した207Aのカタログです。207Aは、日本で実車に接する機会がありました。この日本で207Aを目にする驚きと、アバルトも、はじめは独自のボディを持っていたことに感じ入ったものです。

生産数が少ないといわれる207Aですが、手許のものを含めて3部、207Aのカタログを見たことがあります。実車よりカタログの数が多いのは世の常、とはいえ、207Aのカタログは、それほど珍しくないのかもしれない、と少しがっかりしたのを覚えています。

アバルトの息吹が感じられるカタログです

いかにも手作りといった風情溢れる体裁で、たとえば黄色い製本テープもオリジナルなのです。このテープ、以前の所有者が補修で用いたものだと思い込んでいただけに、その後わたしが目にした他の二冊が、同じように黄色いテープで製本されていることを目の当たりにした時は、ショックとともにうれしくなりました。

このカタログの魅力は手作り感あふれる製本以外にもあります。ページを開くと、人手をかけて無理矢理修正した箇所があるのです。これらのことから、207Aのカタログは初期のアバルトの雰囲気を今に伝える資料のひとつだと思っています。アバルトは個人的にとても好きなので、今後、アバルトの広報関係小冊子等も随時紹介していきたいと考えています。

姉妹誌『モデル・カーズ』の自動車博物記で今月とりあげているのがアバルトOT2000のエンジンですから、こちらでもアバルトOTシリーズのカタログを紹介するのが順当でしょう。それを実現できなかった失敗談を以下に少しだけ。アバルトOTシリーズのカタログは、会社の同僚に無理を言って借りていました。カタログの類は数が多いので、それらに紛れないように、借用したカタログの一群を別にしていたのがいけませんでした。引越しの際に、その一式を誤って処分してしまったようなのです。以来、できるだけ借用はせず、借りたものは全て書斎机の近くに置くようにしています。

●サイズ(縦×横)102mm×218mm ●全16ページ

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン487号(2019年1月号)より転載

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