このカタログを見ていると、スカイラインGT-Rのカタログを思い出します。というのも、R33のGT-R(BCNR33)とR34のGT-R(BNR34)のカタログをつくる際に声がかかり、いくつか参考にすべきカタログを紹介したことがあるからです。もしBCNR33やBNR34のカタログをお持ちでしたら開いてみてください。なるほど、ここを参考にしたのね、という箇所がいくつか発見できると思います。実は、その際参考にしたカタログはこれだけではありません。他にもマクラーレンF1のカタログなどを参考にしています。マクラーレンF1のメーカー製資料は、近く本稿でご紹介する予定です。
BMW M1
前回に続きドイツ車の第2弾はBMW M1です。BMWがMotorsport GmbH(現在はM GmbH)を立ち上げたのが1972年のこと。M1はその最初の市販車です。
ザ・BMW 1979
ネコ・パブリッシングがまだ企画室ネコと称していた1970年代。同社には『心に残る名車の本』というシリーズがありました。毎回1車種をとりあげるのですが、ポルシェに始まりミニ、ワーゲンと続き、ミニやポルシェが2回目に突入した後、ようやく10集として発行されたのが『ザ・BMW1979』でした。
この本には個人的に特別な思いがあります。まず学生だった私に原稿が依頼されたこと。短い文章を書き、生まれて初めて稿料をいただきました。また、当時拙宅にあったクルマが誌面に載りました。そしてなにより、BMW M1のカタログが、かなりのページを割いて紹介されていたのです。
M1のカタログが届く
連日『ザ・BMW 1979』を開き、飽きずにM1のカタログばかり眺めていました。そしてM1のカタログを入手しようと意を決します。その想いが通じ、ドイツから大きな封筒が届き、なかから半ばあきらめていたM1のカタログがでてきたときには小躍りしました。わたしがカタログを入手してこれほどまでにうれしかったのは、このM1が一番です。
以来、何かあるとこのカタログをとりだしてはページをめくるようになりました。カタログには精神安定剤の作用もあるようです。
BMWはM1で『M』の立ち上げを世に知らしめました。
BMW M1を初めて目にした時、脳裏に浮かんだクルマがあります。それは、奇しくもBMWのMが発足したのと同じ1972年に発表されたBMW TURBOです。BMW TURBOというストレートなネーミングに、まだクルマにターボチャージャーの搭載が一般的ではなかった時代を感じます。
BMW TURBOのカタログはスタイリング、そしてM1のカタログは詳細かつ精緻な技術面の記述が見所です。M1の記述内容にはGT-Rに関わっていたエンジニアたちも、ここまで書くのか、と驚いていました。
●サイズ(縦×横)298mm×375mm ●全34ページ