ベントレーの名に相応しいスーパー4ドアGTが誕生!
今ではベントレー全体の52%をSUVのベンテイガが占めるようになっているものの、フォルクスワーゲン・グループの一員となった1998年以後のベントレーの屋台骨を支え続けてきたのは、間違いなくコンチネンタルGT一族である。
その最新作であり、ベントレーの創業100周年を飾る記念すべきモデルといえるのが、今年の6月11日に発表された新型フライングスパーだ。
その名前は、1957年にS1サルーンをベースとしたスポーツサルーンとしてH.J.マリナーが製作したS1フライングスパーに由来するが、2ドアのGTと基本コンポーネンツを共有する新生フライングスパーとしては、これが3代目となる。
まず目につくのが先代のマッシブなデザインとは異なる伸びやかなロングノーズのスタイルだ。一瞬、ひと回り大きくなったように感じるのだが、フロントアクスルを前進させ130mm延長されたホイールベースがそう見せるだけで、全長は1mmしか変わらず、逆に全高は低く、全幅も狭くなっている。そのプロポーションに相応しく新型はリヤアクスルのみを駆動するRWDが基本で、状況に応じてフレキシブルにフロントへの駆動配分を変えられる(先代は前40:後60の固定式)AWDシステムが採用されている。
今回、モナコで行われた試乗会には、スタンダードに加えてグリル、ノーズマスコット、ウインドウモール、ホイールなどのメッキ部分をブラックアウトした“ブラックライン”という仕様も用意されていた。いわばロールス・ロイスの“ブラックバッジ”的な位置付けなのだろうが、これがなかなか似合っていてワイルド・ガイに変身したフライングスパーも悪くない。フライングスパーをスポーティに乗りたいというユーザーにはオススメである。いずれにしろ、スタンダードでもブラックラインでも、目一杯に広がった縦基調のグリルとミュルザンヌを彷彿とさせる大径ヘッドライトのフロントマスクは迫力十分で、Cピラーからなだらかに流れるラインをもつリヤビューは上品で美しい。
インテリアはウイング状のエアベントや、ドアトリムにオプションで選べる3Dテクスチャーレザーなど、新たなディテールが加えられているが、ステアリングや操作系、基本的なデザインはGTと同じだ。特筆すべきは、センターコンソールの12.3インチ・タッチスクリーンをはじめ、やっと各種インフォテイメント環境が最新になったことで、オーディオ、ナビから、空調、サンシェイド、室内のイルミネーションなど、取り外し可能なタッチスクリーンリモートを使ってリヤシートから操作できるメニューも広がった。
またスペースを含めたリヤシートの居住性は相変わらず文句をいう隙もないほどゆったりとしたものだが、デザイン的にリヤのサイドウインドウの高さが絞られため若干囲まれ感が強くなっているのは事実。その解決策が、前席、後席に広がるオプションのグラスルーフで、先代にはない開放感を味わうことができた。併せてUVカットもしっかりしており、夏の気配が残るモナコの強烈な日差しの元でも、眩しさや暑さを感じることはなかった。フライングスパーをオーダーするならば、必須のオプションである。