ゴルフクラスのボディに201ps/310Nmのモーターを搭載。バッテリーは最大航続距離が330〜550kmの3種類から選択可能
9月9日、フォルクスワーゲンはフランクフルト・モーターショーの開幕する前夜に、かねてより予告されていた新型ピュアEV「ID.3」を発表した。
ID.3はこれからフォルクスワーゲンが本格的に推進するeモビリティ攻勢の先駆けとなるモデルで、新開発アーキテクチャーである「MEB(モジュラーエレクトリックツールキット)」プラットフォームをベースにしている。このID.3を皮切りに今後、さまざまなカテゴリーで新世代EVシリーズの「ID.」モデルを登場させることを同社は計画している。ちなみに「ID.」のネーミングは、インテリジェントなデザインやアイデンティティ、そして時代を先取りしたテクノロジーが表現されている。
ボディサイズは全長4261×全幅1809×全高1552mmで、ホイールベースは2765mm。全長はゴルフとほぼ同じだが、オーバーハングが短いため、ホイールベースはカテゴリートップクラスの長さを誇る。
リヤアクスルに搭載されるモーターは201ps/310Nmを発揮。最高速度は160km/hに届く。アンダーフロアに配置されたバッテリーは、45kWh、58kWh、77kWhと、エネルギー容量の異なる3タイプを設定。最大航続距離はそれぞれ330km、420km、550kmを実現する。車両重量は装備内容によって異なるが、最小で1719kgと発表された。
スタリングはショートオーバーハングとロングホイールベースを感じさせる伸びやかなフォルムを描く。デザインは同社が新たに採用したデザインDNAにより、未来の新しいクルマを表現。同社が「フォルクスワーゲン スマイル」と呼ぶフロントマスクは、このモデルを大きく特徴付けている。
長めに設定されたホイールベースによって、室内は高い居住性を誇る。シートレイアウトは2-3レイアウトの5人乗りで、トランク容量は385Lが確保された。
同社が「オープンスペース」と呼ぶ風通しの良いインテリアは、流れるような曲線を特徴とする彫刻的な造形。これは自然界の形にヒントを得ているとのこと。有機的な形状と柔らかい曲線により、開放的な雰囲気が強調されている。
インパネにはコックピットディスプレイの他に、音声認識機能を備えた10インチタッチディスプレイ付きマルチメディアシステムを搭載。スマートフォンとの接続も可能で、ワイヤレス充電にも対応している。マルチファンクションステアリングホイールを含むほとんどのコントロールはタッチボタンによって操作。物理的なスイッチが用いられているのは、パワーウインドーとハザードランプだけだという。
先進安全運転支援機能の積極的な採用も新世代モデルらしい。エマージェンシーブレーキシステム付きフロントアシストや歩行者モニタリング、マリチコリジョンブレーキ、レーンアシスト、車線変更システムのサイドアシスト、リヤビューカメラを含むパークアシストといった機能が採用されている。
市場導入時には特別限定モデル「ID.3 1st」を設定。搭載されるバッテリー容量は、最大420kmの後続が可能な中間レベルの58kWh。ちなみにこのバッテリーの場合、最大出力11kw(AC)および100kW(DC)で充電することができ、DCで充電した場合、30分以内の充電で最大290kmを走行することができる。
「ID.3 1st」のベースバージョンでは、ナビゲーションシステムのほか、シート&ステアリングホイールヒーター、フロントアームレスト、18インチアルミホイールなどを装備。同社の小型車セグメントモデルでいう「コンフォート」に相当する装備レベルだ。
「ID.3 1stプラス」ではさらに、リヤビューカメラシステムやアダプティブクルーズコントロール、シルバーのエクステリアスタイルパッケージ、マトリクスLEDヘッドライト、マトリクスサイドライト、19インチアルミホイールなどが追加される。
最上位バージョン「ID.3 1st Max」には、ARヘッドアップディスプレイやBeatsサウンドシステム、ガラスルーフ、20インチアルミホイールが追加され、さらにエマージェンシーアシスト付き車線維持システムやワイヤレス充電機能付きコンフォートテレフィニーなどの装備をプラスすることができる。
ドイツ市場では2020年の半ばから販売される「ID.3」の価格は、量産モデルが3万ユーロ(約356万円)未満から、特別限定モデル「ID.3 1st」は4万ユーロ(約474万円)からとのことだ。