先進テクノロジーと リーズナブルな価格を両立したロータス・ヨーロッパ【世界の傑作車スケルトン図解】#05-2

ミッドシップ黎明期を代表する一台

196612月、その名の通り英国内を除く欧州マーケット向けにデビューしたロータス・タイプ46こと「ヨーロッパ」は、当時の最新技術だったミッドシップにいち早く参入することでロータスの先進性を示すとともに、「セヴン」後継車となるベーシックなスポーツカーとしての側面も期待されていた。

ヨーロッパ最終モデルに相当するスペシャル。ピンストライプとシルバーにペイントされたサイドシルが特徴。また、F1GPでのタイトル獲得を記念した黒×金ラインの「ジョン・プレイヤー・スペシャル」カラーが多かった。

極めて優れた技術者であるとともに辣腕ビジネスマンとしても知られたロータス創業者、コーリン・チャプマンは、ヨーロッパが最新鋭のスポーツカーであることを巧みにアピールする一方で、英国内のようにキットフォームで販売できない欧州大陸でもセヴン並みの販売価格が維持できるよう、シビアなコストダウンをあらゆる箇所に断行しているのが特徴だった。

初期モデルのS1とS2では「ブレッドバン」と皮肉られたボディスタイル。

1964年デビューの市販レーシングスポーツ「タイプ30」に酷似した鋼板製バックボーンフレームに組み合わせたサスペンションは、フロントこそ「エラン」とほぼ共用のダブルウイッシュボーンだが、リアはアッパーアームを省略し、代わりにデフ左右のプロペラシャフトがそれを兼ねるという大胆な設計。それでもミッドシップレイアウトによる低い重心、やや大柄ながら軽量なボディも相まって、当時のフォーミュラカーの疑似体験を味わえる素晴らしいハンドリングを誇っていた。

「ツインカム」以降ではリア周辺のデザインが改められ、エンジンフードは一段低められることに。

エンジンは、ルノー16用4気筒OHV 1471ccが組み合わされた。英国製エンジン、たとえばすでにロータスとは縁の深かったフォード製エンジンを搭載しなかったのは、コストの問題に加え、ヨーロッパ大陸内でのサービス体制に優れているとの判断がなされたからである。

スペシャルでは若干豪華な内装とされた。

ボディは、特異なリアクォーターパネルの形状から「世界最速のブレッドバン」などと揶揄されたが、実は空力特性については極めて入念に練りこまれ、Cd値で0.29という非常に優れたデータをマークしていた。

スペシャルではエンジンもエランスプリントと同じ「ビッグバルブ」126psにスープアップ。ミニスーパーカーとしての資質を獲得するに至った。

1967年には、整備性や居住性の向上を図るべく大規模な改良を受けたS2に進化した一方で、1969年からはようやく英国内でのデリバリーが開始されたのである。さらに 1971年にはリアクォーターパネルを若干低めて斜め後方視界を確保したボディに、待望の1558cc DOHCを搭載したモデル、その名も「ツインカム」がデビューする。

S2までのモデルには、写真のルノー16に採用された1.5L OHVユニットをチューンして搭載。

ヨーロッパがセヴン後継という生来の目的を離れ、現在の我々が持つ印象に近いミニスーパーカー的な方向へシフトし始めたのは、この時期のことである。そして翌 1972年にはエラン・スプリント譲りの「ビッグバルブ」ユニットを搭載した「スペシャル」に最終進化を果たし、1975年にエスプリにあとを譲るまで生産された。

ルノー16のトランスミッションは4速MT。動力性能よりもハンドリングの良さをアピールしていた。

解説:武田公実

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