手頃にサーブに乗りたいなら2代目900は狙い目
だけど、逆に言えば、だからこそ2代目900は狙い目なのです。内外装は誰が見てもサーブというデザインですし、1990年代設計のシャシーは現代においても一線級。古さを感じません。車内も広く空調も快適、GMの資本が入って各部の仕上がりはさらに良好に。もう20年前のクルマですが、燃費が悪いこととトラブルの心配がゼロではないこと以外は、まったくふつうに我慢せずに足にすることが出来ます。それでいて、サーブの味は確実に残っていて、サーブに乗っている! という実感を味わえます。おまけに、人気の高いクラシック900に比べ絶対的に不人気ゆえ、価格は確実にリーズナブルです!
センターコンソールのイグニッションはこの世代にも健在。サーブの象徴だ。ヘッドライトワイパーも厳しい北欧の自然を感じさせるポイント。一瞬キャップに見えるがアルミホイールである。トランクスペースは広大。
そう思うと2代目900とその改良版・初代9-3という選択は、100ドロ的には“手頃にサーブに乗る最適解のひとつ”だと思うのです。
1981年登場のサーブ自製H型エンジン。2.3L150ps版は9000に初搭載。バランサーシャフト付きで回転感覚は緻密で高級。エモーションを感じないエンジンだが、黒子としては優秀。不思議と飽きない。でも燃費はイマイチ。
で、実際にぼくは2代目900を買ってしまいました! 当時新車で販売されていた頃ですら見た記憶がないノンターボの3ドアクーペで、日本ではウルトラ級の希少車です。朝にサイトで見つけ、3ドア、華のない布シート、LHDという現地っぽい仕様にKOされ、午後には中古車屋さんに行き、あまりの程度の良さに感激し、そのままハンコをついちゃったのです(笑)。2代目900はよい部品をきちんと組んだ、開発と製造にお金がかかっているという印象のとても精緻で上質なクルマです。それがこの金額で手に入れられちゃうのです。だから、100ドロはやめられないのです。
1996 SAAB900S 2.3i Coupe
車両購入価格●380,000円
満足度 ★★★★★
レア度 ★★★★★
ドロ沼度 ★★★
クラシック900と9-3に挟まれた2代目900。クーペは日本ではとても希少。地味で目立たないが、街で気がついた人だけスゴイと気がつく”隠れレアキャラ”。ベクトラのシャシーと現代的で堅実な設計で、充分日常のアシになる。
ドロ沼(!?)に陥った人
遠藤イヅル Izuru ENDO
小型車、実用車、商用車を好むイラストレーター/ライターかつ中古車検索ジャンキー&希少車マニア。過去に所有した18台のうち中古車が17台で、ほぼ100ドロ。日本で残存数一桁だった実用車多し。別にプジョー309SIも所有。
Text:遠藤イヅル/Izuru ENDO Photo:山本佳吾/Keigo YAMAMOTO カー・マガジン454号(2016年4月号)より転載