【国内試乗】「メルセデスAMG GT 4ドア・クーペ」その圧倒的なパフォーマンスは紛れもなく4シーター・スーパースポーツ!

ライバルの筆頭はパナメーラ・ターボ!

唯一問題があるとすれば、ブレーキだろう。不特定多数のジャーナリストに踏みつけられたあとの走行であることを考えれば優秀だとは思うのだが、セラミックローターが奢られていても3周も走ればペダルタッチは甘くなる。全開走行を繰り返すようなことのない一般公道なら、たとえアウトバーンでもクーリングを挟めば十分な性能だろう。だができることなら制動能力は上げなくても良いので、もう少しだけ放熱性を上げるソリューションが欲しい。

快適な後席環境や積載スペースを確保しつつ、スタイリッシュなデザインに仕上げられている。また、AMG GTファミリーであることが、ハッキリと分かるようなスポーティさも兼ね備えている。

なぜならもしGT63Sをアウトバーンのない日本で手に入れた場合、オーナーが安心してこの速さを解放できる場所はサーキットしかないからだ。富士のストレートでブレーキを詰めずとも2トン越えのボディを270km/hまで加速させてしまうウルトラクーペだけに、ブレーキ性能は高めても高め過ぎることはないと思う。そういう意味でもS65を手に入れたオーナー諸氏には、AMGの特性を理解するAMGトラックデーなどに参加して走りを楽しんで欲しい。

マルチビームLEDヘッドライトやAMG専用ラジエターグリルを採用。リトラクタブルリアスポイラーは高速時の安定性を高めるだけでなく、ハードブレーキ時には、ダウンフォースを稼ぐために自動でせり上がる機構も備わる。ラゲッジスペース容量は標準456Lで、最大1319Lまで拡大可能。GT63 Sは461〜1324L。

話が少し逸れてしまったが、まとめるとAMG GT4ドアクーペは、基本的なスキルと運転を愛する気持ちさえあれば、その超絶したスピードを安心して楽しめる4ドア・クーペだ。AMGというと日本ではどうしてもその迫力ばかりが目立っているけれど、実際の彼らはドライビングを愛し、むしろ厳ついイメージとは正反対な純朴さでクルマを仕上げている。そんな彼らの気持ちが、そのコントロール性の穏やかさや緻密なESCの制御に表れている。

タイヤ&ホイールはGT 43が19インチ。GT 53とGT 63 Sは20インチが標準で、オプションで21インチも用意される。

ライバルの筆頭はポルシェ・パナメーラ・ターボだと思う。直接対決したわけではないのでいたずらに判定は下せないが、走りの自由度という点で63Sはがっぷり四つだろう。あとはスタイリングや乗り味の好みで決めればよい。

サイドはサッシュレスウィンドーと後方に向けて大きく傾斜した上下方向に細いウインドスクリーンを採用し、4ドアの利便性を持ちながら、クーペの流麗なルーフラインを実現。

その乗り味ではFR駆動ベースということもあり、AMG GT Rとの血のつながりが、パナメーラと911GT3の関係よりも濃い気がするのも、ひとつの魅力だと思う。ともあれ4ドアクーペが本気で走れる時代になった。

リポート:山田弘樹/K.Yamada  フォト:柏田芳敬/Y.Kashiwada  ル・ボラン2019年6月号より転載

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