ドライバーの技量に操縦を委ねるホットハッチを楽しみたいなら130TCは最良の選択
1980年代、電子制御が進んだ時代に抗うかのように、アバルトの協力のもと古典的な方法で性能を上げた130TC。ドライバーの技量に操縦を委ねていた時代のホットハッチを楽しむなら、130TCは最良の選択だ。
ダッシュボードにヒビ割れナシ:パネル内に多くの情報が表示されるが、ヴェリア製のメーターはデザインがスッキリしているため視認性は良い。保管状況の良さを物語るように、紫外線の影響を受けやすいダッシュ上部にヒビはなかった。
実は高い実用性:1988年式とあってファブリックのシート表皮に擦れはあるが致命的なヤレはない。ちなみにシートはレカロ製のスポーツタイプが純正で備わる。クロモドラ製のホイールはアバルトのセンターキャップが備わり、組み合わされるタイヤサイズは185/60R14。ラゲッジスペースの開口部は広く、また深さもあるため不満はないレベルだ。スペアタイヤはフルサイズで、ラゲッジのフロア下に吊り下げられている。
1988 FIAT RITMO ABARTH 130TC
価格●1,200,000 円
レア度 ★★
爽快度 ★★★★★
ドロ沼度 ★★
パーツの供給状況は問題なしといえるほど豊富ではないものの、ストリートライフで対応できる範囲内とのこと。ノンパワステ+キャブレターと1980年代後半のクルマとは思えない仕様だが、ダイレクトなドライブフィールを体感したい方はきっとエンジンをかけた瞬間に虜になるだろう。今となっては電気仕掛けが少ない点も魅力だ。
Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:山本佳吾/Keigo YAMAMOTO カー・マガジン446号(2015年8月号)より転載