100ドロの醍醐味と言えば、一期一会を大切に本能の赴くまま、乗りたいクルマを購入する! に限りますが、今回はフィアッ・リトモ・アバルト130TC。刺激的な日常をお求めの方は必見!
フィアット・リトモとは?
1978年、フィアット128の後継モデルとして誕生したFFの2ボックスセダンで、3ドアと5ドアモデルがラインアップされた。デザインはベルトーネが担当している。この高性能モデルがリトモ・アバルトであり、1981年に丸目2灯の125TC、1983年に丸目4灯の130TCが誕生し、1987年まで生産されている。
電子正制御に頼らない古典的な方法に、ドライバーはより強い刺激を受ける
車両販売やモータースポーツ用の車両制作などを行う『ストリートライフ』で見つけたのが、今回紹介する2台のフィアット・リトモ・アバルト130TCだ。
アバルトチューンに高ぶる:排気量1995ccのDOHCユニットは、車名の通り最高出力130psを発揮する。前モデルの125TCに比べ、キャブレターは2基架けとなり、カムシャフトはバルブオーバーラップの大きいものとなっている。
フィアット128の後継モデルとして誕生したリトモは、ゴルフの対抗馬として高い実用性を持っていたが言ってしまえばフツーのクルマだ。そんなリトモに、車名の通り125psを発揮するアバルトチューンの1995cc DOHCユニットを搭載したのがリトモ・アバルト125TCで、1981年に登場した。アバルトの特製ピストンによる圧縮比のアップ、バルブオーバーラップの高いカムシャフトの採用。加えて、アバルトとZFが共同開発したクロスレシオの5速のM/Tが組み込まれている。そんな125TCの性能をさらに向上させ、1983年に登場したのが130TCだ。キャブレターは1基から、ツインチョークタイプの2基架けとなり、カムもプロファイルの大きなものに変更されている。馬力だけでなく30kgのダイエットを果たし車両重量は950kgとなっている点もトピックだ。
サソリの刺激にシビレる:こちらの個体には、ソレックスC40ADDHEが装着されていた。エンジンは目覚めた瞬間からドライバーを刺激するほど勇ましい。赤くペイントされたエアクリーナーカバーにはABARTHのロゴとサソリのマークが入る。
撮影の際クルマを動かすためにキーを捻ると、その瞬間インパネが震えるほど刺激的な咆哮を伴いエンジンは目覚めた。そして少しスロットルペダルを踏み込むと、即座に回転を伴いレブカウンターが上昇する。ストリートライフで相当手を入れたのかと思い、吉野代表に尋ねてみると、簡単な整備とキャブの調整をした程度とのこと。最初の個体がアタリだったのかと思い、もう1台も動かしてみるとこちらも驚くほどピックアップが良い。130TCには、ウェーバー40DCOEとソレックスC40ADDHEが用意されていたが、幸運なことに今回そのどちらにも乗ることができた。その違いが気になる方はぜひストリートライフを訪れていただきたい。
デザインはベルトーネ:リアスポイラーが高性能を主張するリアスタイル。スタイリングデザインを手掛けたのはベルトーネであり、車内空間は広くとられ実用性は高い。マフラーはアバルト製で、アイドリング時の音量は控えめ。
Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:山本佳吾/Keigo YAMAMOTO カー・マガジン446号(2015年8月号)より転載