ルノー・シュペール5、それはパリ、ではなくバカラの時代【旧車ビギナーは要注意!100万円でドロ沼に陥る!?】

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カー・マガジン編集部員がこれは! と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!?』。今回は、クラスレスの魅力を持ったシュペール5のレアキャラを紹介します。一番のポイントは豪華な内装、と言えばお気づきの方は多いはず。

ルノー・シュペール5とは?

1970年デビューの初代と区別するため、シュペール5と呼ばれる2台目が登場したのは1984年のこと。今回取り上げるバカラは1987年のマイナーチェンジを機に加わった上級モデルで、同時期に写真のホットハッチモデルのGTターボもラインアップされていた。

大衆車に上質を取り入れた、“オシャレなルノー”の意欲作

ルノー・シュペール5シリーズで、これまで誌面を飾った回数が最も多いのはGTターボだろう。当コーナーでも紹介済みだが、今回取り上げるのは『バカラ』。クリスタルガラス製品で有名なあのバカラとスペリングは異なるが、いろいろあって現在使われていないのはご存知の通り。現行モデルでいえばイニシアル・パリがそれにあたる(といっても、国内では先代ルーテシア以来、未導入)。

1980年代の残り香:フラッシュサーフェスを取り入れたデザインは、マルチェロ・ガンディーニによるもの。全長3590mmというコンパクトなボディサイズながら、後席と収納スペースはしっかりと確保されている。

バカラがシュペール5のラインアップに加わったのは、初のマイナーチェンジを遂げた1987年のこと。ちなみに1989年にインジェクション化されるのだが、今回取り上げた個体は1989年モデルながらキャブエンジン。つまり熟成極まったキャブ仕様なのだ。また、インジェクションモデルでは3速A/Tが輸入されていたが、キャブ時代は5速M/Tという点も見逃せない。エンジン排気量は11譲りの1.7Lで、5では最も大きな排気量となる。1.4L搭載モデルと比較して当然ながら低速域でもトルクがあるたため、高回転まで引っ張ってきびきび走らせるというよりは、早めのシフトアップを心がけてゆったり流す、というのがバカラらしい乗り方だろう。

上級グレードに見合ったエンジン:1989年にインジェクション化されるが、これは最終記のキャプモデルで、排気量1721ccの4気筒ユニットを搭載する。1.4リッター・エンジンを搭載するGLなどより低速トルクがあるため、早めのシフトアップでバカラらしさを堪能したい。

1989年の販売価格を、当時の輸入元JAXの広告で確認すると250万円とあった。ベースのGLが169万5000円(GTターボは268万円)ではんばいされている中、あえてバカラを選んだ初代オーナーは相当な好きモノだったことだろう。まあ、このコーナーを読んで興味を示した読者も間違いなく好きモノなのだが。

マニュアルで楽しむレアなバカラ:インストルメントパネルは視認性、操作性共に優れたレイアウトだ。キャプモデルならではの装備として、ステアリングコラムの左脇にチョークレバーが備わる。トランスミッションは3ペダルの5速M/Tとなる。

Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:澤田和久/Kazuhisa SAWADA カー・マガジン465号(2017年3月号)より転載

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