適度にスパイスの効いた、FRセダンを手懐ける。その瞬間こそ、505を所有する喜びだ
熱くなり過ぎずドライブを楽しもう:プジョー、ルノー、ボルボが共同開発した直4ユニットは、2165ccの排気量から130psを発揮する。取材した個体は’90年式のためトルコンA/Tは4速仕様だ。現在のGTi達に比べればチューニング度合いはかなりマイルド。
乗り心地はソフトでロールも深いが、リズムに乗って走らせることが楽しく、意外なほどハイスピードでコーナーを駆け抜ける。この瞬間こそ、プジョー謹製のダンパーセッティングやシートクッションを堪能できる至福の時だ。わかりやすい強烈な刺激ではなく、普段の乗り心地を犠牲にすることなく、バランスよくドライビングプレジャーを高めている点に好感が持てる。ホイールベースは504と同じだが、前席の形状変更。また604譲りのセミトレーリングアームを採用することで居住スペース、乗り心地とも向上している。つまり505はファミリーカーとしても大いに活躍してくれるのだ。
ドライバーズシートが特等席:メーターやスイッチ類はドライバーを囲むように配置されているため、視認性、操作性共に良い。紫外線のダメージを受けやすいダッシュパッドにヒビ割れはなく、色褪せも生産から30年近く経過していることを考慮すれば抑えられている。
隣の芝生、ではないが際立つ個性があるわけではないので、他に心動かされる瞬間があるかもしれない。しかし、じっくり付き合うことで発見できる美点を、505は多数備えている。プジョー最後のFRセダンとなった505の魅力を、改めて確認する貴重なチャンスだ。
ヴァカンスの国で求められる収納力:奥行き、深さ共に申し分ないトランクは、リッドが直立付近まで開くため使い勝手は非常に良い。これだけのスペースがあれば、長旅の荷物でも問題なく呑み込んでくれる。写真ではわからないが、トランクリッド後端にスポイラーを備える。
1990 PEUGEOT 505 GTi
車両購入価格:580,000円
プジョー度 ★★★★
実用度 ★★★★
ドロ沼度 ★★★
GTiと言えば”ホットバージョン”の代名詞だが、この時代はスポーティといった程度。刹那的な速さに溺れるよりも、永く付き合ってクルマの動き方やクセを覚え、スムーズに操る喜びに浸りたい。V6ではなく直4という点は、メンテナンスを考えると歓迎できる。
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ナカオワークス 080-5652-6600
Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:山本佳吾/Keigo YAMAMOTO カー・マガジン484号(2018年10月号)より転載