カー・マガジン編集部員がこれは! と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。なんと機関好調な英国サルーン4台+1を一度に取材できたので、今回はバンプラをご紹介。暑い夏の間は、クーラーの利いた涼しい室内で、100ドロカーを物色するのが正しい自動車趣味の過ごし方?
個性あふれるアグリーカーへついに時代が追い付いた
ADO16といえば、レポートページでもお馴染みのモーリス1100などを含む大ヒットシリーズ。そのため、本誌読者であればすぐにカタチを思い浮かべることが出来るだろう。それでは後継モデルのADO67は? と聞くと、すぐに想像できる人は少ないのではないだろうか。しかし英国車マニアであれば「あれね」と、少し笑みを含んだ顔で教えてくれるはずだ「オースチン・アレグロでしょ?」と。
ADO16に比べて、ボディサイズは若干アップしている。”P”のロゴが配されたホイールキャプやボディサイドに入るコーチラインなど、フロントグリル以外にも”ヴァンプラらしさ”が随所に光る。
ここで取り上げるのは、アレグロをベースとした姉妹車のバンデンプラ1500で豪華な装備が特徴だ。具体的にはフロントグリルの他、ウッドやレザーをふんだんに使用した内装。そしてお馴染みのピクニックテーブルなどが挙げられる。ADO16よりもボディサイズは若干大きくなった程度だが、車内はもっと広がった印象で窮屈さとは無縁。また1.5LのEタイプ・ユニットは必要十分の動力性能で、A/TセレクターをDに入れた時の”ドンッ”と押し出される感触も微笑ましい。
初期のアレグロではスクエアなステアリングホイールが採用されていたが、ヴァンプラではレザー巻きのオーソドックスなタイプとなる。想像していたよりも足元が広く、窮屈な感じはない。
人気を博したADO16の後継モデルながら、現存数は少なく、売り物で出ることはまずないアレグロ&1500。その理由は、先に書いた英国車マニアの笑みに繋がるのだが、アグリーカー・トップ10に選出されること多数の”醜い”と評されたデザイン故。ところが醜いのイメージが先行して対峙した実車は、コンパクトにまとまっており、ファストバックのリアスタイルも美しいと思った。百聞は一見にしかず。その言葉を実体験したい方にぜひ。
エンジンはオースチン・マキシに積まれた1.5リッターのEタイプ・ユニットで、エンジンの下にギアボックスを内蔵するイシゴニス式だ。サスペンションは窒素ガスと液体のハイドラガスを用いたもので、片側ずつ前後関連懸架となる。インテリアは、レザーとウッドが奢られ定番のピクニックテーブルが付く。
1977 VANDEN PLAS 1500
1,080,000円
【編集長の傍からヒト言】
次は路上で会いましょう:ADO16一族の後を受け継いだADO67の、イチバン上級なのはもちろんこの世代でも”バンプラ”。当時の日本では、ガレーヂ伊太利屋が輸入してましたね。シトロエンばりのスフィア+前後関連懸架も魅力。あえてADO16には行かない、剛の者へ。
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ナカオワークス 080-5652-6600
Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:佐藤亮太/Ryota SATOU カー・マガジン483号(2018年9月号)より転載