ロールスらしからぬ適度なチューン
“ブラック・バッジ”がロールス・ロイスの正式ラインナップに加わったのは2016年のことだが、このほど真紅のドーン・ブラック・バッジが日本に上陸。ダークなロールスと異名をとるこの特別なモデル、改めてその走りと魅力をご紹介しよう。
ロールス・ロイス・ドーンの国際試乗会は、南アフリカのケープタウンで開催された。朝から晩まで、ひとり1台のドーンが渡されて、好きなところに行っていいという大変贅沢なプログラムだった。オープンにして走ればケープタウンの雄大な景色が360度のアングルで目に飛び込んで来て、至極のドライブを満喫した。あれから約3年、都内の雑踏の中で再会したドーンはケープタウンで日がな一日を共にしたそれと少し異なる雰囲気を身にまとっていた。
“ブラック・バッジ”とはありていに言えば、ドライバーズカーとして仕立てられたロールス・ロイスである。後席よりも運転席に座る客人が嬉しさを感じるよう改良が施されたという。その一端は、エンジンスタートボタンを押した直後にすぐ伝わってきた。エンジンに火が入った瞬間に「ヴァン」、アイドリングで「ドゥドゥドゥドゥ」というロールス・ロイスらしからぬ音が後方から聞こえる。明らかに、このエキゾーストシステムはノーマルと異なる仕様だ。本来ならキャビンへの侵入を可能な限り排除するエキゾーストノートはうるさすぎず、でも存在感を程よくアピールするよう、その音色がきちんと管理されている。
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