新規定マシンの実力は?
2019シーズン開幕(5月3日~独ホッケンハイム)を控えた、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の最終オフィシャルテストが4月15~18日にドイツのラウジッツリンクで行われた。
長年に渡って協議が続いていた「クラス1」レギュレーションがまとまり、いよいよ日本のSUPER GTとのエキジビションレース開催がついに決定! また、シリーズから離脱したメルセデスAMGに代わって、アストン・マーティン(Rモータースポーツ)がヴァンテージDTMの4台体制で新規参入するとあり、アウディRS5 DTMとBMW M4 DTMとの三つ巴バトルという新たな時代の幕開けとなる。
DTMでは参戦マシンでのテストの回数が制限されており、大半がベンチテストとなるのだが、実車を走らせてみないことには分からないトラブルや問題点を発見、改良するためには、今回の最終公式テストは有意義な機会となる。コースインとピットインを繰り返し、入念なマシンチェックをしていくというテストは4日間に渡って開催された。また、午前と午後のセッションの合間には、恒例の新マシンとドライバーの撮影会や記者会見も行われ、晴天の中、新しいレーシングスーツとヘルメットを持つドライバーが誇らしく写真に納まった。
クラス1規定により刷新されたBMW M4 DTMを見ていくと、昨シーズンまでの4リッターV8よりも100馬力以上アップした2リッター4気筒ターボエンジンが搭載され、車重の50kg軽量化とエアロパーツを制限する一方で、SUPER GTさながらのワイドなリアウイングを装着。このウイングには、F1マシンも採用するDRS(ドラッグリダクションシステム)が備えられていて、ウイングの開閉によるオーバーテイクショーが繰り広げられることで、ハイスピードレースならではの白熱したバトルが予想される。
ただし、マシンのポテンシャルが大幅にアップした一方で、ワンメイクタイヤは昨シーズンと同レベルのコンパウンドと同サイズのハンコックを継続。ハイパフォーマンスマシンゆえに特に後輪への負担が大きくタイヤの消耗が激しい。限られたタイヤをいかに有的にマネジメントしていくか、という点においてもドライバーの手腕が問われる。DTMではレース中のドライバーとピット間の無線コンタクトを禁止しているだけに、ドライバーは激しいレースを自らの腕と頭脳をフル回転する必要があるのだ。
2度のシリーズチャンピオン経験を持つBMWのエースドライバー、マルコ・ヴィットマン選手は、「ホッケンハイムのストレートなら300km/h以上だ!」とコメントするだけに、新M4 DTMのポテンシャルには大いに期待できそうだ。
まだ開幕前とはいえ、10月にホッケンハイム、11月に富士スピードウェイで開催されるSUPER GTとの交流戦には、BMWモータースポーツのイエンス・マルカルト代表とドライバーらは、「待ち遠しくて仕方がない」と口を揃える。