アウディQ7がウェット路面で常識を覆すオドロキの好成績を叩き出した!【清水和夫のDST】#74-3/4

Q7はSUVのブレーキの常識を覆す好成績を叩き出した

VOLVO XC90 T6 AWD INSCRIPTION
●制動距離:50.5m(★★★☆)

DSTはやってみないとわからないと、20年もの間感じ続けている。電子制御の粗さやタイヤのウェット性能は、実際に濡れた路面でテストしないとわからない。だから、このウェット旋回ブレーキは、鬼も泣くテストなのだ。XC90はタイヤの摩耗が残り5mm台だったが、ウェットグリップ力が少し低下していた。その影響もありABSが比較的早期に効き、大きな制動力が得られなかった。2回目はステアリングをやや先行させて操作しブレーキを踏む。ABSのコンピュータはウェットよりも滑りやすい路面だと勘違いし、リアの制動力を低下させた。安定性は問題ないが止まりにくく曲がりにくい状況となってしまった。

 

AUDI Q7 2.0 TFSI QUATTRO
●制動距離:36.5m(★★★★☆)

Q7で驚いたのは、スピードメーターの誤差がほとんどなかったこと。タイヤサイズが影響していたかもしれないが、その精度はかなりのものだ。肝心のウェット旋回ブレーキではタイヤの溝がXC90よりも1mm程度多く残っており、タイヤのコンパウンド的にも安心できるパフォーマンスだった。ブレーキの効きもABSの制御も非常に正確で、濡れた路面に対し最適な制動力を発揮。2回目のロバストテストでもABSはごまかされないで安定したデータが得られた。フィーリング的にも安心してウェットの旋回路で大きな制動力を発揮した。「大きなSUVは重いから曲がらないし、止まりにくい」という常識を覆したといえる。

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2016年11月号より転載

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