4輪操舵のデモも
2018年9月18日~22日の4日間、ドイツ・ベルリンにて世界最大級の鉄道関係の展示会「InnoTrans(イノトランス)2018」が開催されました。世界61カ国から3,062社の出展があり、146のワールドプレミアがあったと主催者から発表されています。
今回、広い展示場の中庭では、EV(電気自動車)バスの展示試乗会も開催されていました。そこで、同じ時期にハノーバーで開催されていた「ドイツ国際自動車ショーIAA商用車」には展示されていなかったバスたちをピックアップして紹介します。
EVになったバスは、考えようによっては路上を走る電車とも言えるかもしれません。欧州では連接バスが多いため、ことさらに路面電車っぽい感じがあります。今回、さらに電車寄りのバスが誕生しました。しかもメーカーは鉄道車両メーカーの仏アルストムです。他社のEVバスは駆動力を電気に換えただけなのに対し、EVであることを存分に活かした新しいデザインです。
全長12mに対してホイールベースが10.4mと、タイヤを極限まで四隅に配置した究極のMM(マンマキシマム・メカミニマムという昔のホンダのコンセプト)なバスといえます。
究極的に短いオーバーハングによる運転のしやすさや、タイヤ端間の完全バリアフリーなフラットフロアも大きな特長ですが、際立っているのは4輪操舵(逆位相)による回転半径および車両限界の小ささと4輪操舵(同位相)によって歩道とのギャップを40mmミリまで縮めていることです。また、平行四辺形っぽく動けるため、かなり狭い停車スペースでも歩道にピタリ寄せられます。一連の動きはこんな感じです。
どうしてもどかないカメラマンがいたため前半部は隙間が大きめだが、本来はリア部分のようにギリギリまで寄せられるそうです。
4輪操舵モードは運転士(ドライバー)がパネルのスイッチでモードを切り替えるシステム。ショートオーバーハングを活かした車内フロアには段差がなくて電車のようにフラット。
それぞれ特徴あるバスが!
こちらの“ColumBus”は、「eバスプロジェクト」に参画するパートナーによる合作。パンタグラフ集電が特徴的ですな。
オレンジのボディが鮮やかなオランダVDL社が手がけたCITEA連接バス。ガラス面が大きいですね。
オランダEBUSCO社製シティバス2.1。311 kWhのバッテリーパックを搭載し、航続距離300kmを謳うEVバスです。
ベルギーVan Hoolからは水素バス。計画では2017年から2022年までの5年間に、2台の水素バスがオペレーターであるQBUZZによってオランダ北部で実証実験を行っている。
地元ドイツのシレオ社製18.3m連節バス。346kWhバッテリーを搭載し、航続距離は400kmとのこと。
ポーランドのソラリス社製ウルビノ12バス。オプションでパンタグラフ集電も選べます。スイスのシュタッドラー社との合弁でトラム製造もはじめていますね。同社の資料によると、EU市場は、2020年に22.1%、2030年には45.2%がEVバスになると予測しているとのこと。
ニッサンe-NV200をベースにしたドイツK-BUS社のコミュニティバス「Eソーラーシティ」。ルーフに備えた太陽光パネルがレンジエクステンダーとして機能します。
以上、プロトタイプから量産車まで、さまざまなバスがありました。EUには、連接、三連接などのボディや、「ディーゼル」「ハイブリッド」「EV」などのバスが走っていますので、ご旅行の際はぜひバス移動も楽しんでください。
さて、このInnoTransは2年ごとの隔年開催なので、次回は2020年9月22日~25日です。お間違えなきように。
また、同じく偶数年にハノーバーで開催されるドイツ国際自動車ショーIAA商用車と開催時期が重なるため、バス、トラック、鉄道好きの方は一度に見られるのでおトクです。ハノーバーとベルリンをICEなどのドイツ自慢の鉄道で旅をするのもいいかもしれません。列車を探すのも予約をするのも驚くほど簡単です。お試しください。
関連サイト:
https://www.innotrans.com/
https://www.iaa.de/en/
https://www.bahn.com/en/view/index.shtml