検査不正や米中貿易摩擦に翻弄された国内メーカーの中間決算まとまる

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自動車メーカーの財務状況はいかに!?

円安傾向の続く為替レートや海外市場の好調に後押しされて、ここ数年は好調に推移してきた日本の自動車メーカーの業績だが、2018年度(2018年4月~2019年3月)に入ってからはさまざまなファクターにより先行きが見通しにくくなりつつある。完成検査の不正発覚に関してはメーカー自身にも責任があるものの、巨大台風による被害、米国と中国の貿易摩擦による中国新車販売の減速、米トランプ政権による米国市場での締めつけ強化など、予想しにくい外的要因も業績に影響をおよぼしてきている。

そんななかで迎えた2018年度の中間決算(2018年4~9月)は、メーカーによって明暗が分かれる結果となった。


トヨタ自動車は、世界販売は微増だったものの、中国でのレクサス好調などに支えられて売上高が上期として過去最高の14兆6740億円を記録。中国を含むアジア、欧州、日本国内での利益も増加し、安定して稼いだ印象だ。ホンダもアジアでの二輪事業の好調が全体を後押しし、売上高、利益ともに過去最高を更新。四輪車の販売は全体ではやや後退したものの、日本での軽自動車の好調、北米での台数増が利益増に貢献している。

スズキは売上高、利益、世界販売台数ともに過去最高を更新し、これで売上高は2期連続、営業利益は7期連続で増加。2012年の米国撤退に続いて2018年は中国市場から撤退するなど他のメーカーとはやや異なるグローバル展開で臨むスズキだが、インドでの好調は続いており、ルピー安などの不安要素はあるものの、選択と集中により着実に稼いでいる。三菱自動車もアジアでのSUVやピックアップトラック販売が好調で増収増益となり、営業利益と純利益は上期は厳しい状況となったマツダとスバルを抜いて国内5位にランクアップしている。


このうちトヨタ、ホンダ、スズキは2018年度通期の予想も上方修正し、トヨタは売上高29兆5000億円と30兆円の大台を睨むが、一方で厳しい展開となったのが日産自動車、マツダ、スバルの3社だ。日産は日本と中国では好調だったものの北米および欧州市場での不振が響き、売上高、利益ともに減少。鉄鋼など原材料の高騰分を吸収できず、やや課題を残す決算となった。通期の予想は据え置き、下期での巻き返しを図る構えだ。


マツダは世界販売が過去最高を更新し、売上高も増加したものの、2018年7月の豪雨被害による操業停止、生産量の抑制の影響は大きく、利益は大幅に減少。台風被害による損失は概算で約180億円となり、通期予想も下方修正を余儀なくされている。そしてスバルは米国でのモデルチェンジの狭間による販売台数減などにより売上高が減少し、国内では検査不正および大規模リコールによる関連費用の増加により利益が大幅に減少。台数通期予想も下方修正しており、この影響は下期も続くと見ている。頼みの米国でのSUV販売は回復が見込まれているが、検査不正問題で失った信頼をどこまで取り戻せるかが勝負となりそうだ。

以前より短いサイクルで財務状況が変化し、巨大メーカーとはいえなかなか安泰とはいかないのは日本に限ったことではないが、外的要因、内的要因を問わず厳しいときにこそ、その真価が見えてくる。日本のメーカーも的確な舵取りで、この厳しい時期を乗り越えていくことを期待したい。

ル・ボラン 2019年1月号より転載

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