【パリ・サロン2018】コンコルド広場を120年の歴史が駆け巡る

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希少なレジェンドが!

2年に一度のパリ・モーターショー(以下パリ・サロン)が10月14日に閉幕した。今年は1898年に第1回が開催されてから120年目となることから、ショー開幕前の9月30日に、パリ市内中心部にあるコンコルド広場で、120周年記念イベント「PARADE DES 120 ANS D’INNOVATION DU MONDIAL DE L’AUTOMOBILE」が行われたのだ。

当日は午前10時から、パリ・サロン120年の歴史を彩った約200台のヒストリックカーが、コンコルド広場にズラリと並べられ、事前にイベントの情報を聞きつけたクルマ好きはもちろん、観光客や世界中から集まったメディアで溢れかえっていた。

会場がフランス・パリだけに、地元産のモデルがとても充実していた。ルノーやプジョー、シトロエンといったフレンチブランドは、一般のコレクターが持ち込んだ車両に加えて、国内のミュージアムから貴重な車両を大量に持ち込んだ。ルノー5ターボIIや8ゴルディーニ、シトロエン2CVやDS、そしてプジョー204や504カブリオレといった往年の市販モデルに加えて、エポックメイキングなコンセプトカーの数々が屋外に並ぶ光景は、クラシックカー文化が根付いているヨーロッパでもなかなか見られるものではない。

フランス車以外では、フォルクスワーゲンやポルシェ、メルセデス・ベンツなどドイツ車と、フィアットやアルファ・ロメオ、マセラティなどイタリア車が多く出品された。さらに歴代レンジローバーやジャガー、ロールス・ロイス、ベントレーなど英国車も並んでいたが、思いのほか存在感を放っていたのはアメリカ車。マスタングやオールズモビルといった、1960~70年代の古き良き時代のデザインと小粋なパリの風景が意外なほどにマッチするのは、新たな発見と言っていいだろう。

スーパーカー世代にはたまらないモデルも数多く展示された。1968年のランボルギーニ・ミウラP400や1971年のマセラティ・ギブリSS、1972年のフェラーリ356 GTB/4デイトナ、1972年のデ・トマソ・パンテーラ、1972年のアルファ・ロメオ・モントリオールなど、今見ても惚れ惚れするほど美しい名車の数々が、なんの囲いもなく置かれている状況には、来場者も戸惑うほどだった。

日本車も、1969年のホンダS800クーペと1971年のホンダZの2台が展示された。S800クーペはもちろんだが、ホンダZは、N600用の空冷600ccエンジンを搭載した輸出仕様なので、とても貴重な個体といえる。遠く離れたフランスで、いまだ現役で走っている事には驚かされるばかりだ。

13時からは、コンコルド広場から凱旋門へ伸びるシャンゼリゼ通りをパレード走行。多くのドライバーは、そのクルマの現役当時のファッションや、クルマのキャラクターに合わせた衣装に身を包み、まるでコスプレ大会の様相を呈していた。単に並んでしずしずと走るのではなく、観客に楽しんでもらおうとサービス精神満点な姿は、さすがフランスといったところである。

今回のイベントは、1回限りのスペシャルなものだったが、自動車を単なる移動のための道具ではなく、各時代を象徴する歴史の一部としての文化的価値を大切にするヨーロッパの懐の深さを感じさせてくれるものだった。また同様のイベントが行われれば、ぜひ足を運んでみたい。

フォト:竹花寿実 T.Takehana/Mondial Paris Motor Show

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