【横浜ゴム】冬用タイヤ新技術で氷上性能を飛躍的に向上

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特殊試験機で接地状態を可視化

特殊試験機で撮影した接地面の画像で左が吸水剤あり、右が吸収剤なし。右に比べて黒い真実接触部が多いことがわかる

スタッドレスタイヤを含む冬用タイヤの氷上でのグリップ力を確保するためには、タイヤと氷の間に生じる水膜を素早く除去する技術が必要になる。そのために発泡ゴムや吸水性のあるゴムをトレッド表面に使ったり、トレッドパターンを工夫することになるのだが、横浜ゴムによると実際に水膜が除去される状態は、今までは開発段階でもハッキリと観察はできなかったという。

そこで同社は金沢大学との共同研究により、1秒間に100万枚撮影可能な高速度カメラを搭載した特殊試験機を開発し、接地状態の可視化に成功。今まではゴムが直接路面に接地している部分(真実接触部)も、間に水膜が入り込んだ部分も同じように見えていたが、特殊試験機ならその違いを判別でき、さらに画像分析による数値化も実現している。

この特殊試験機を活用した評価技術を生かし、より吸水性に優れた配合剤や、排水性に優れたトレッドパターンを開発していけば、冬用タイヤの氷上性能を飛躍的に向上させることも可能になるという。毎年、タイヤメーカーの新技術が話題となる冬用タイヤだが、一見地味な分析・評価技術がどこまで商品に反映されてくるのか興味深いところ。氷上だけでなく総合性能の底上げにも貢献することになるだろう。

LE VOLANT 2018年12月号 Gakken Plus

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