国道273号・三国峠(No.012)
果てしなく広がる原生林の大樹海を一望にする。
ご存じの通り、北海道において本格的な開発が始まったのは明治以降のことである。開拓と警備にあたる兵士、屯田兵の制度ができたのは明治7年(1874年)のこと。彼らには一定の土地と「兵屋」と呼ばれる家が与えられ、その多くは家族を連れて未開の大地に踏み込んでいった。
糠平湖畔にある旧国鉄士幌線のタウシュベツ川橋梁跡。かつては林道をぬけて間近までは行けたが、熊が頻繁に出没するため現在は進入禁止。国道脇の展望所から遠望する。
そんな屯田兵たちの前に立ちはだかったのが北海道の大自然。そして、彼らが目にしたに違いない圧倒的とも言えるスケールの大きな風景を、いまも目にすることができるのが、北海道の国道峠では最高所(標高1139m)を抜けていく三国峠である。
大雪山系の東をゆく国道273号・糠平国道。この道を層雲峡側から帯広方面に向かって走っていくと、三国峠のトンネルを抜けた先で大きく視界が開ける。眼下に一望となるのは原生林の大樹海。まるで空中散歩をしているかのような大パノラマで、原生林の海をまたぐ松見大橋を別にすれば、人工物はいっさい見当たらない。
道内の国道では最高所を抜ける三国峠だが、コーナーが連続するのは峠の前後のみ。直線路でゆったりと標高を上げていく。
三国峠を下り、糠平湖へ向かうと、今度は原生林のなかをロングストレートがまっすぐに延びていく。いかにも北海道らしさを満喫できるルートで、原生林が色づく紅葉シーズンにはさらに感動的な風景も展開する。
ただし三国峠の前後、国道273号の上士幌町と国道39号の上川町の間には、約110kmにわたってガソリンスタンドが一軒もない。走り出す前は燃料計の確認をお忘れなく!
ご当地情報
★メインカット撮影ポイント
◎正式名称/国道273号
◎区間距離/2km(大雪ダム-糠平温泉)
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/7月上旬
アクセスガイド
旭川から三国峠までは、国道39号/273号を通って約100km。南の帯広からだと国道241号/273号などを使って90kmあまり。どちらも郊外に出ればクルマの流れが速いので、2-3時間で楽にアクセスできる。
観光情報
層雲峡観光協会 Tel:01658-2-1811
上士幌町観光協会 Tel:01564-4-2224
文:佐々木 節/写真:平島 格
※料金・営業時間・問合せ先などは平成27年9月時点のものですので、お出かけの際には最新情報をご確認ください。また特に表示のないものは消費税8%税込み料金で、宿泊料は原則2名1室利用時の1名分の料金です。