ボディサイズはさらに拡大?
次期「ポルシェ911」の姿が初めて目撃されたのは2015年のこと。そこから約3年の月日を経て、ようやくカムフラージュが最小限となった最終プロトタイプの姿がドイツ・ニュルブルクリンクで捉えられた。
早速、その外観をチェックしてみよう。911が現行991型でボディサイズ、特にホイールベースを大幅に延長したことは当時クルマ好きの間でも話題となったが、992型といわれる新型でも基本的な佇まいは踏襲される。しかし、次世代スポーツカー・モジュラープラットフォームを採用しているといわれる新型は約40mmのトレッド拡大とホイールベースのさらなる延長が図られているという。実際、走行するプロトタイプを見る限りホイールベースについては特別伸びた印象はない一方、トレッドについては情報通り拡大されているように見える。ご存じのように911の場合、テスト車が「どの仕様」なのかによってトレッドが大きく変わるだけに全モデルで基本的ディメンションの変更が敢行されるのか否かはわからない。だが、見方によっては左右を“継ぎ足した”ようにも見えるフロントバンパーを見ると「あるいは?」と思わせる話ではある。
一見、特に変化がないようなディテールにも新型の手がかりは発見できる。Aピラーは少し傾斜が強くなったように見えるし(本当に傾斜が強くなっているならボディに大幅な手が入っているのは確実だ)、コーナーのエアダクトはスクエア基調の新しい造形になるようだ。また、テールランプは先頃「ミッションE」改め「タイカン」を名乗ることが表明されたポルシェ初のピュアEVを彷彿とさせるラップアラウンド形状になっている模様。その一方、興味深いのはフロントフードのセンター部に2本のプレスラインが設けられていること。これは横に拡がった(かもしれない)ことで冗長に見えることを避ける手法、あるいは空冷時代の911のオマージュ的効果を狙ったものかもしれない。
搭載するパワーユニットは、最高出力390ps(現行のベーシック仕様は370ps)を発揮する3リッター水平対向6気筒ターボをエンジンを搭載するほか、2021年には最高出力420ps程度を発揮する911初のPHEVモデルも投入することが確実視されている。一方、キャビンには12.3インチディスプレイを備える「アドバンスコックピット」を搭載。基本的なグラフィックは911の伝統が守られるはずだが、タコメーター以外はすべてデジタル化されるという。気になるワールドプレミアは、11月のロサンゼルス・モーターショーが最有力。しかし、この最終プロトタイプを見る限り発表の準備はすでに万端のようだ。