マツダCX-8が衝突安全、予防安全の両方で評価トップ。予防安全は20車のうち19車がASV++に
新型車の安全性能を評価するJNCAP(自動車アセスメント)の2017年度の結果が去る5月31日に発表された。国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が行うこの評価は、以前は年度分を前期・後期に分けてまとめて公表されていたが、2015年度からは予防安全性能(衝突被害軽減自動ブレーキなど)の評価結果を随時公表するようになり、2016年度からは評価に時間を要する衝突安全性能も、結果が出た時点で公表されるようになっている。
最新の2017年度の評価結果に関しても、昨年10月に前期試験の結果が公表され、それ以降は結果が出るたびに公表され、この5月末時点で新たに加わったのはマツダCX-8のみ。クルマを買う側としては、できるだけ早く評価結果を知りたいのでこの随時公表のシステムは歓迎できるし、年度結果の総まとめやランク付けも購入時の資料として活用できるのでありがたい。ちなみに欧州のユーロNCAPは以前から結果を随時公表しており、日本のJNCAPもそのやり方を踏襲した形だ。
衝突安全性能評価をまとめた結果は別表の通りだが、年度最後に試験されたCX-8が208点満点中193.9点で最高評価となった。別表の通り歩行者保護性能の高さが際立っており、90点台はCX-8のみ。2016年度に最高得点となったスバル・インプレッサは歩行者保護エアバッグを備えることで96.07点の過去最高得点を獲得しており、それにはおよばなかったもののCX-8はポップアップ式のアクティブボンネットを標準装備することで高い得点を得たと見ていいだろう。
一方でシートベルト着用警報(シートベルトリマインダー評価)に関しては後席に装備がないということで8点満点中4点にとどまり、総合では高評価だったもののトヨタ系のクルマやホンダN-BOXやシビックより低くなっている。このあたりの充実が今後のマツダ車にとっての課題といえそうだ。
最高評価の5つ星獲得車に与えられるファイブスター賞は14車中9車が獲得し、ここまでくると5つ星を取れないクルマのほうが目立ってしまう感もある。なお、ダイハツ・トール/トヨタ・ルーミーの4兄弟車のサイド&カーテンエアバッグ装備車は180点超えを果たしているものの、乗員保護試験結果がレベル3以下はダメという附帯条件をクリアできず、4つ星にとどまっている。
もうひとつの予防安全性能評価は、先進安全機能と呼ばれる衝突軽減自動ブレーキや車線逸脱防止装置、後方視界情報などを評価するもので、こちらは総合得点79点満点で評価される。12点以上ならASV+、46点以上ならASV++というレーティングも設定されるが、’17年度の試験では20車中ASV++とならなかったのはダイハツ・トール/トヨタ・ルーミーなどの4兄弟車のみ。歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキを装備していなかった点がマイナスされた結果だ。そして日産ノートとマツダCX-8は最高得点の79点を獲得し、CX-8は衝突安全評価と両方で年度トップという高評価を得たことになる。
両方の評価で5つ星およびASV++のクルマが多くを占めるのは喜ばしいことだが、その半面、より高い安全性を追求するには評価基準を強める必要性も出てきている。国土交通省もNASVAもその検討も始めているようだが、2018年度以降の試験で導入されることになるのか。そのあたりにも注目したい。