先進の電動化技術で燃費も疲労も低減
激戦カテゴリーのMクラスミニバン市場において、トヨタのノア/ヴォクやホンダ・ステップワゴンらと熾烈なシェア争いを繰り広げるセレナが、先進運転支援機構「プロパイロット」に続くアドバンテージとして、同社が推進する電動パワートレインの「e-POWER」を投入してきた。
これは、先制ヒットを放ったノートe-POWERが初搭載となる、1.2リッター直列3気筒エンジンで発電した電力で、リチウムイオン電池のチャージと最高出力136ps/最大トルク320Nmの電気モーターを駆動する、いわゆるシリーズハイブリッド(HV)のこと。すでにマイルドHVを主力に据えながらも、電動駆動への意欲を見せるところが、オリジナリティにこだわるニッサンらしさだ。
リポーターは発売前のプロトタイプをクローズドコースで試乗し、後日に市販モデルを一般公道と高速道路でチェックしてみたが、クルマの仕上がりは上々。主な変更点はエコと先進を表現したブルーのフロントグリルやインテリアに施されたブルーアクセント(スターターボタンや液晶メーター、センタートレイなど)と、空力性能アップを狙ったリアサイドスポイラーに15インチ切削アルミホイールといった専用パーツにとどまるが、搭載する電動パワートレインには車重が嵩むミニバン相応の増強が図られた。
バッテーリーだけで最長2.7kmもEV走行できる「マナーモード」では、フルHVに勝る加速感が堪能でき、走行中の静粛性も十二分で、電動化に伴う高周波ノイズも巧みに抑えていた。しかもアクセルのワンペダル操作で加減速がコントロールできるところには、電動ラジコンのような面白さも発見。ともあれ、手足のシゴトが減るのは嬉しい限りだ。
あえて難クセをつけるなら、すごく静かな環境を走行しているときなどに、充電用エンジンの始動時と高負荷時の音振ノイズがそれなりに盛大に感じられ、アクセル操作に応じて加速とシンクロするものだから、電動走行のありがたみが薄れてしまうところ。ただし、普通に一般公道や高速道路を走っているぶんには、むしろマイルドHV仕様やノートe-POWERよりも静かなのは事実。フロアカーペットやフロントウインドーに施された遮音対策が効果を発揮しているのだろう。
こうした改良点からも、このセレナe-POWERへの注力ぶりがわかる。確かにワンペダルのドライブはストップ&ゴーが頻繁な市街地走行に最適だし、燃費はクラストップ(JC08モード=26.2㎞/リッター)! 家族そろって出かける長距離ドライブでもバッテリーの充電残量も気にせずにいられるミニバンは唯一無二。例えば高速道路の往復を「プロパイロット」に任せてしまえば、明日のシゴトを忘れて家族とのレジャーに集中できますぞ。
【Specification】ニッサン・セレナe-POWERハイウェイスターV■全長×全幅×全高=4770×1740×18650mm■ホイールベース=2860mm■車両重量=1770kg■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V/1198cc(発電専用)■最高出力=84ps(62kw)/6000rpm■最大トルク=103Nm(10.5kg-m)/3200-5200rpm■モーター最高出力=136ps(100kw)■モーター最大トルク=320Nm(32.6kg-m)■トランスミッション=CVTT■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ(F:R)=195/65R15:195/65R15■車両本体価格(税込)=3,404,160円(7人乗りのみ)■日産自動車 http://www2.nissan.co.jp/