ボッシュはインクリメントPと、三菱電機はHEREと提携。ゼンリンもオランダ企業と提携
自動運転の実用化に欠かせない「高精度地図」を巡る企業間のコラボレーションがあちこちで始まっている。まず自動車サプライヤー大手であるボッシュがパイオニアの子会社であるマッププロバイダー、インクリメントPと提携。数センチ以下の誤差で自車位置を把握できるボッシュ・ロード・シグネチャーの実用化を進めるボッシュは、欧州、北米、中国でそれぞれの地域のマッププロバイダーと組んで高精度マップの開発を進めている。日本ではインクリメントPの持つ高制度地図技術を活用し、日本向けの自動運転用マップを作成する考えだ。
ボッシュは現在、自動運転を実現するために車載カメラ、及びレーダーを使用した自車位置推定技術Bosch Road Signatureの開発に取り組んでおり、実用化されると数cm単位の精度で自車位置を把握できるようになる。(提供:Bosch)
また、三菱電機は欧州のマッププロバイダー大手のHEREテクノロジー社と提携。HERE社の高精度地図やクラウド位置情報サービスは欧州メーカーも利用しているが、三菱電機も両社の技術を盛り込んだサービスを欧州で導入。リアルタイムの道路情報などを展開していくとしている。
一方で国内マッププロバイダー大手であるゼンリン(ゼンリン・データコム含む)は、オランダで欧州向け地図および位置情報サービスを行なう「TomTomインターナショナル」と提携。日本ではあまり名前を聞かないが、世界68カ国で地図サービスを展開し、5億以上の交通ビッグデータを活用してリアルタイム交通情報「TomTomトラフィック」を配信している。こちらはマッププロバイダー同士の提携となるが、’18年以降に国内のカーメーカーやナビメーカーへ交通情報サービスを供給する予定。ゼンリンも国内では70%のシェアを持つマッププロバイダーだが、両社の提携によりビッグデータの相互利用が進み、より正確で豊富な情報を提供できるようになるとしている。
(写真)左から、株式会社ゼンリン 上席執行役員第二事業本部長 藤沢秀幸氏、TomTom International B.V. オートモーティブ事業部 Managing Director Antoine Saucier氏、株式会社ゼンリンデータコム 代表取締役社長 清水辰彦氏
これらの企業提携はいずれも自動運転を見据えてはいるものの、まずはその地盤となる高精度地図やトラフィックサービスを整え、AI(人口知能)などを活用したプラットフォームの構築を目指している。自動運転の実用化はまだ先のことだが、それを目指すテクノロジーが、精度の高い交通情報や道路案内、テレマティクスの進化につながるところは歓迎できる。今後ますます増えていくであろうサプライヤー同士のコラボが生み出す新たな展開にも注目したい。